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第一回先行デザイン会議参加者一同 (ダイ一カイセンコウデザインカイギサンカシャイチドウ)

2004年生まれ。

(最終更新:2011年2月23日)

> 10+1 DATABASE内「第一回先行デザイン会議参加者一同」検索結果 (150件)

[都市の表象分析 16]

都市の伝記──自伝という死の訓練 | 田中純

Analyses of Urban Representation 16 | Tanaka Jun

ヴェネツィアにほど近いパドヴァの街の中心に、転倒した船の船底のような屋根をもつパラッツォ・デッラ・ラジォーネは建つ。「サローネ(大広間)」と呼ばれる巨大なホールを二階に有するこのパラッツォは、一二一八年から翌年にかけて建造され、幾度もの焼失と破壊をくぐり抜けてきた。サローネのほの暗い空間を囲む壁面は四方びっしりと、占星...

『10+1』 No.34 (街路) | pp.2-11

[宣言]

先行デザイン宣言 | 第一回先行デザイン会議参加者一同

Declaration of Pre-Existing Design | All Participants of Pre-Existing Design Summit

まだ見ぬ参加者たちへ 先行デザイン会議開催のお知らせ 世界の混迷はますます深まるばかりです。このような世の中においてもなお信じるに足るべきものがあることは、幸いです。それはすでにできてしまった〈先行物〉の存在です。計画道路を曲げる古墳、タウンプランニングを左右する条里制、これらはいずれも優秀な先行物です。 このたびそ...

『10+1』 No.37 (先行デザイン宣言──都市のかたち/生成の手法) | pp.65-65

[現代住宅論 1]

現代住宅の諸問題 1──なぜサステイナブル・デザインなのか | 難波和彦

Contemporary House Issues 1: On Sustainable Design | Namba Kazuhiko

この連載では、現代の住宅が抱えているさまざまな課題について考えてみたい。できるだけ広いコンテクストで考えるつもりだが、僕自身、実際の設計に携わっている立場なので、視点の偏向を免れることはできない。しかしあえて特定の視点から出発し、徐々に視点を拡大しながら最終的には自分の視点を相対化する方向へ進むように努力するつもりであ...

『10+1』 No.44 (藤森照信 方法としての歩く、見る、語る。) | pp.200-209

[現代建築思潮]

新しい物質、新しい素材 複雑化/集積化する素材 | 今井公太郎今村創平日埜直彦吉村靖孝

New Materials: Materials of Complexity, Integration | Imai Kotaro, Imamura Sohei, Hino Naohiko, Yoshimura Yasutaka

報告 今井公太郎 今井──前回、バシュラールの「形式的想像力」と「物質的想像力」について話をしました。建物でいうと「形式的想像力」というのはフォルムやプランといった幾何学的なことに対応し、「物質的想像力」は素材や物質そのものに対応する、という区分をしました。近代建築以降のさまざまな建築理論は、どちらかというと形式的想像...

『10+1』 No.38 (建築と書物──読むこと、書くこと、つくること) | pp.37-44

[都市表象分析 10]

類推的都市のおもかげ──ノスタルジックな形態学 | 田中純

Trace of Analogical City : Nostalgic Morphology | Tanaka Jun

1 類推の魔とノスタルジア 第二次世界大戦後間もないころ、東欧の若い建築家ボクダン・ボクダノヴィッチ(のちのベオグラード市長)は、気晴らしに夢の都市の平面図や鳥瞰図を描くことを習慣にしていた。彼は連想のおもむくまま、それまで目にしたことのあるあらゆる都市の美しい街路や広場、建物などをそこに集めたという。のちにエジプトの...

『10+1』 No.28 (現代住宅の条件) | pp.2-10

[現代建築思潮]

討議:フォールディング・アーキテクチャー 横山太郎──《横浜大さん橋国際客船ターミナル》/ジン・ヨハネス──プロジェクト・スタディを交えて | 日埜直彦今井公太郎今村創平吉村靖孝横山太郎ジン・ヨハネス

Folding Architecture: Crossing Views; Taro Yokoyama, "Yokohama International Port Tarminal", Gin Johannesヤ Project Studies | Hino Naohiko, Imai Kotaro, Imamura Sohei, Yoshimura Yasutaka, Yokoyama Taro, Gin Johannes

フォールディング・アーキテクチャー──その実践の系譜 ソフィア・ヴィゾヴィティ  日埜直彦|訳 Sophia Vizoviti, “Folding Architecture, Concise Genealogy of the Practice” 二〇世紀末におけるまったく新しい建築を求める議論からフォールディングは登場...

『10+1』 No.35 (建築の技法──19の建築的冒険) | pp.47-62

[モノとマチの向こうに見えるもの 3]

設計条件がない?! | 北川卓松本淳

No Design Conditions!? | Taku Kitagawa, Jun Matsumoto

昨年末に岡山の不動産会社から連絡があって、急遽岡山へ飛んだ。なにやら、大規模開発がなされる敷地を見て欲しいとのことだった。早速車で飛行場から現地に直接向かうこととなった。その敷地にはブルドーザーがまだ残っており、広大な敷地の周りには水田が広がり、実に殺風景な光景が目の前に広がっていた。全区画三八戸の宅地開発プロジェクト...

『10+1』 No.38 (建築と書物──読むこと、書くこと、つくること) | pp.17-19

[論考]

ニューバウハウスとダイナミック・イコノグラフィ──空間・視覚・精神の相互浸透をめぐって | 伊藤俊治

New Bauhaus Style and Dynamic Iconography: On the Recipocity of Space, Vision and Spirit | Ito Toshiharu

1 空間とは物質により規定されるものではなく、感覚と情報が連結される可変的な場である。それゆえ空間と視覚と精神は常にダイナミックな流動状態のなかで相互に浸透し、融合し合い、世界の新しい経験の仕方や新しい感じかたを要求し続ける。 ヨーロッパからアメリカへ移動したバウハウス精神の変質を体験し、その地で建築から感覚情報へバウ...

『10+1』 No.23 (建築写真) | pp.205-216

[セヴェラルネス:事物連鎖と人間4]

自尊心の強い少年 | 中谷礼仁

Boy with High Self-Esteem | Nakatani Norihito

円形競技場はきっちりとした形態を備え、その機能を明確に体現した形となっている。それはもともと、無造作な容れ物として考えられたものではなかったのであって、それどころか綿密に考え尽くされた構造、建築表現、形態を備えていたはずである。しかしそれを取り巻く外的状況変化は、それは人類の歴史上最もドラマチックな瞬間の一つであったの...

『10+1』 No.35 (建築の技法──19の建築的冒険) | pp.12-23

[都市の表象分析 13]

イメージの/による葬儀──コロッソスとしての記念碑 | 田中純

Funus Imaginarium: Memorial as Colossus | Tanaka Jun

1 英雄というプレテクスト ニューヨーク世界貿易センター(WTC)跡地利用をめぐっては、選出された七つの建築家チームによる九つの計画案が二〇〇二年一二月一八日に発表された。展覧会や集会を通し市民の意見を広く集めたうえで、翌年の二月四日にローアーマンハッタン開発公団(LMDC)とニューヨーク・ニュージャージー港湾局は、案...

『10+1』 No.31 (コンパクトシティ・スタディ) | pp.2-11

[1990年代以降の建築・都市 7]

再発見された 《エレクトリック・ラビリンス》 | 五十嵐太郎

The Rediscovered 'Electric Labyrinth' | Igarashi Taro

すぐれた作品は時代を超えて、われわれに問いかけるものがある。 二〇〇二年に再制作された磯崎新の《エレクトリック・ラビリンス(電気的迷宮)》もそうした作品と言えるだろう。ドイツのメディア・アート系美術館であるZKMの「イコノクラッシュ」展において、三四年ぶりに幻の《エレクトリック・ラビリンス》は復活した。 よく知られてい...

『10+1』 No.31 (コンパクトシティ・スタディ) | pp.198-208

[モノとマチの向こうに見えるもの 4]

プロダクト化再考 | 北川卓松本淳

Reconsidering Design for Production | Taku Kitagawa, Jun Matsumoto

はじめに 最近、身の回りで愛好者が増えているポータブルミュージックプレイヤー「iPod mini」の裏面にある「Designed by Apple in California Assembled in China」という刻印に目が留まった。「Designed by Apple」といった場合、内部の微細な部品の設計図を描...

『10+1』 No.39 (生きられる東京 都市の経験、都市の時間) | pp.29-31

[現代建築思潮]

討議:建築/統計/アーバン・デザイン──ビョルン・ロンボルグ『環境危機をあおってはいけない』、MVRDV「REGIONMAKER」を端緒に | 田村順子吉村靖孝今井公太郎今村創平日埜直彦

Architecture, Statistics and Urban Design: Bjo/ rn Lomborg, The Skeptical Environmentalist and MVRDV "REGIONMAKER" | Lunko Tamura, Yoshimura Yasutaka, Imai Kotaro, Imamura Sohei, Hino Naohiko

報告 I─吉村靖孝 吉村──今回の研究会はビョルン・ロンボルグの『環境危機をあおってはいけない』(文藝春秋、二〇〇三)を取り上げたいと思います。以前僕の担当した回ではローレンス・レッシグの『CODE』を読みましたが、それがインターネットと規制の問題を扱った本であることにもまして、「限られたリソースをどうやって分配するか...

『10+1』 No.39 (生きられる東京 都市の経験、都市の時間) | pp.48-56

[CONCEPTUAL 日本建築 4]

第四章──工作編 | 黒沢隆

Towards pre-modern construction system: Development of material merchandize from the early despotism ages | Takashi Kurosawa

19  土台   Sill(DODA'I = foot lyer wood): Civilization stage of wooden building 木造建物の「文明」段階 青森の市街南陵に三内丸山遺跡が発掘されたのは一九九四年のことだ。直径一㍍余におよぶ巨大木柱六本の痕跡などもみつかり、C₁₄測定によって縄文...

『10+1』 No.39 (生きられる東京 都市の経験、都市の時間) | pp.220-233

[サウンド+アート+サイエンス 1]

サウンドアートと音響空間デザイン | 池上高志

Sound Art and Acoustic Space Design | Ikegam Takashi

気鋭のアーティスト渋谷慶一郎さんと、第三項音楽という新しいサウンドアートをたちあげたのは去年の一二月である。第三項音楽はコンピュータでつくり出す音の世界である。「現代アート」といわれているものの多くが視覚優位なアートであって、音を使ったアートもあるものの、どちらかというと視覚的なもののオプショナルなものとして添えられて...

『10+1』 No.44 (藤森照信 方法としての歩く、見る、語る。) | pp.28-29

[現代建築思潮]

[討議/ブックガイド] 建築情報の受容再考 「正統性」から「生産性」へ/文化の受容・翻訳・発信を考察するためのブックガイド20 | 今村創平今井公太郎日埜直彦吉村靖孝

From Orthodoxy to Efficiency/ 20 Book Guides for the Study of Reception, Translation and Transmission of Culture | Imamura Sohei, Imai Kotaro, Hino Naohiko, Yoshimura Yasutaka

海外建築情報の受容と読解 今村創平 今村──今回は「海外建築の受容」というテーマを取り上げてみたいと思います。まずは建築の文脈からは離れますが、資料として配りました丸山真男『日本の思想』、吉本隆明『初期歌謡論』、柄谷行人『批評とポストモダン』からの抜粋についてです。これらでは日本では何かを構築しようとしても難しく、特に...

『10+1』 No.36 (万博の遠近法) | pp.47-54

[技術と歴史 3]

技術と装飾 | 鈴木博之

Technology and Ornament | Suzuki Hiroyuki

一九世紀的建築観の転倒 今日は「技術と装飾」がテーマですが、私にとっての装飾と技術との問題は、近代の問題と関わっています。装飾は近代とは二律背反のものであり、さらに装飾と技術も二律背反である、あるいは二項対立であるという考え方があります。それをもう少し考え直してみたい。それはある意味では近代批判、近代の再検討ということ...

『10+1』 No.41 (実験住宅) | pp.177-187

[グローバリズム 4]

アジアの〈栄光©〉と〈悲惨©〉 | 八束はじめ

Asian〈Glory©〉and 〈Misery©〉 | Yatsuka Hajime

1    東京  二〇〇三 vs 東京計画一九六〇 vs ドバイ二〇〇? 東京のど真ん中に誕生したばかりの新しい都市、「六本木ヒルズ」のそのまた中心を占めるタワーは武士の鎧をイメージしたのだという。設計者は日本人ではなくアメリカのKPFである。名古屋にもフランクフルトにも、もちろん本拠のシカゴにもタワーを建てているいわ...

『10+1』 No.34 (街路) | pp.208-220

[連載 4]

思想史的連関におけるル・コルビュジエ──一九三〇年代を中心に 4 | 八束はじめ

Le Corbusier in Relation to the History of Inteligence: The 1930s 4 | Yatsuka Hajime

11 建築か革命か 「建築か革命か」、いうまでもなく、『建築をめざして』の最後の文章である。この真ん中の「か」は、フランス語の「ou」つまり英語の「or」であり、そこだけだと「すなわち」という意味にもなりえる。「建築すなわち革命」、ロシア・アヴァンギャルドの文章であったら、そう訳さねばならないが、ル・コルビュジエはそれ...

『10+1』 No.41 (実験住宅) | pp.159-176

[ラディカリズム以降の建築1960s-1990s 6]

批判的地域主義再考──コンテクスチュアリズム・反前衛・リアリズム | 五十嵐太郎

Rethinking Critical Regionalism: Contexturalism/ Antivanguard/ Realism | Igarashi Taro

野蛮ギャルドの住宅 それは大地に「映える」のではなく、大地から「生える」建築だった。数年前、建築史家の藤森照信氏が設計した《神長官守矢史料館》を見に行ったとき、小雨が降りしきる視界のすぐれない天候だったせいか、なんとも幻想的な第一印象を抱いた[図1]。おそらく山村を背景にして建物の正面に並ぶ、原木さながらの四本の柱が想...

『10+1』 No.18 (住宅建築スタディ──住むことと建てることの現在) | pp.205-216

[作品構成]

アルゴリズム的思考とは何か | 松川昌平

What is Algorithmic Thinking? | Shohei Matsukawa

アルゴリズム的思考を用いると従来の建築とどう変わるのだろうか? 僕自身これまで、「関数空間/Algorithmic Space」と題していくつかプロジェクトを発表したり、非常勤講師をしている慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスで同名の設計課題を出したりしているので、学生や同世代の建築家から上述のような質問をよく受けることがあ...

『10+1』 No.48 (アルゴリズム的思考と建築) | pp.155-160

[インタヴュー]

エーゲ海の都市/見えない都市/霧状のモナド──都市構造とアーバンデザインの方法をめぐって | 磯崎新日埜直彦

Aegean City/ Invisible Cities/ Misty Monad: On Urban Structure and Urban Design Methodology | Isozaki Arata, Hino Naohiko

世界の都市、建築をめぐる旅 日埜──数回にわたり、六〇年代の都市に関する磯崎さんの取り組みについてお聞きしてきました。この時期は磯崎さんが都市デザイナーという職能に強い関心を抱いておられた時期ということになるかと思います。当時都市に関係して書かれた論文の多くが基本的に日本の状況を背景としていたわけですが、『みづゑ』に連...

『10+1』 No.47 (東京をどのように記述するか?) | pp.167-175

[論考]

スタルク・デザイン | 沖健次

Phillipe Starck Design 1980-1994 | Oki Kenji

現代社会におけるひとつの特性として、デザインによって表わされてきた現象のようなものがある。それは、デザインの力あるいはデザインによって築かれてきた人間の感性的欲望の総称のようなものである。それらは、幾世代もの人間の進化と経験の過程により蓄積され変化したものであるのだが、デザインという現象を作り出すデザイン自身も、同様の...

『10+1』 No.02 (制度/プログラム/ビルディング・タイプ) | pp.11-16

[翻訳]

悪循環を解く | ジェーン・ジェイコブス石山友美

Unwinding Vicious Spiral | Jane Jacobs, Ishiyam Tomomi

他の諸問題と融合し、より悪化の方向を辿るような連鎖した問題群は、われわれの気力をくじくものであるが、訳のわからないものではない。過ちをおかしたとか、不運であったことの一目瞭然の帰結なのである。北アメリカの都市におけるホームレス問題や手頃価格(アフォーダブル)住宅の不足、そしてそこから波及していくさまざまな問題は、明らか...

『10+1』 No.47 (東京をどのように記述するか?) | pp.155-166

[作品構成]

Natural Computationの景相化 | 田中浩也久原真人

Ommniscape of Natural Computation | Hiroya Tanaka, Macoto Cuhara

自然/コンピュテーション/コンピュータ 「Computing」あるいは「Computation」という思考法は、筆者がこの原稿をタイプしている物理的実体としての「コンピュータ(計算装置)」を超えて、自然界/生態系や社会★一、ヒト★二の現象や運動の総体を、「計算」という観点から捉え返そうとするものであるといえる。そのメタ...

『10+1』 No.48 (アルゴリズム的思考と建築) | pp.149-154

[論考]

「美術館都市」は可能か? | 暮沢剛巳

Is the "Art Museum City" Possible? | Kuresawa Takemi

Q──最近、六本木アート・トライアングルってよく聞くけど、あれって何のことなの? A──ここ数年、六本木には立て続けに大きな美術館が開館したじゃない? そのなかでも、六本木ヒルズの森美術館、乃木坂の国立新美術館、それに東京ミッドタウンのサントリー美術館の三館を結んだネットワークのことだよ。それぞれ運営母胎が違うので、今...

『10+1』 No.49 (現代建築・都市問答集32) | pp.132-133

[論考]

「空間」と「経済」のデュアリティ 五〇—六〇年代アメリカ・アーバニズムの深層 | 唯島友亮

Duality of "Space" and "Economy": The Depth of United States Urbanism in the 50s and 60s | Yusuke Tadashima

0 メガロポリスとオーガニゼーション・マン 一九四二年、鉄道でアメリカ北東部を旅していたフランスの地理学者ジャン・ゴットマンは、ヨーロッパには見られないような数多くの大都市がそこに列をなして展開されていることに気がついた。彼はその後五一年にアメリカへ活動拠点を移し、北東部の湾岸沿いに広がるその巨大な帯状の都市化地帯の本...

『10+1』 No.50 (Tokyo Metabolism 2010/50 Years After 1960) | pp.161-172

[論考]

東京のタイポ・モルフォロジー | 塚本由晴藤村龍至

Typology/ Morphology of Tokyo | Tsukamoto Yoshiharu, Ryuji Fujimura

このところ東京都心部では、「東京ミッドタウン」や「新丸ビル」等、大規模再開発による大型商業施設が続々とオープンしている。経済構造改革と連動した「都市再生」と呼ばれる一連の政策によって、東京都心では二〇〇〇年以降の七年間で二〇〇棟もの超高層建築物が建設されたという★一。かつてはランドマークとして機能していた東京タワーも、...

『10+1』 No.47 (東京をどのように記述するか?) | pp.76-84

[翻訳]

白く燃え上がる彼方──都市の哲学に関するノート | ダヴィド・D・エキモヴィッチ+田中純

Burning White Beyond──Notes on the Philosophy of the City | David Deyan Ecimovich, Tanaka Jun

〈オーストリアの終焉(Finis Austriae)〉は過密した点を表わす。その結果として、オーストリア文化と二〇世紀のヨーロッパ文化双方においてそれは、マルチメタファーの形でこそ存在する。最も直接的にそれが示すのはハプスブルク帝国終焉の年月と戦争、そしてその余波のうちの社会状況であり、これは騒然とした崩壊過程であって...

『10+1』 No.03 (ノーテーション/カルトグラフィ) | pp.245-262

[ビルディング・タイプの解剖学 5]

清潔な身体/精神:監獄──彼岸への装置化 | 五十嵐太郎+大川信行

Clean Death (Penalty): Toward the Ultimate Apparatus | Igarashi Taro, Okawa Nobuyuki

病室と監房、隔離と監禁。病院と監獄がその初源において同根であることは様々に指摘されている。本稿でも連載の二回目「呼吸する機械 : 病院」で監獄と病院の衛生観をパラレルに論じているが、今回は監獄、特に重罪犯に関わる施設を取り上げ、身体と装置の極限を見る。 植民の世紀を通じて、海外への流刑は身体刑と同様ごく一般的な行刑法で...

『10+1』 No.09 (風景/ランドスケープ) | pp.32-35

[ラディカリズム以降の建築1960s-1990s 2]

D+Sの変タイ建築論──ポストヒューマニズムの身体へ | 五十嵐太郎

Diller and Scofidio's Perversion of Architectural Theory: Toward a Post-Humanist Body | Igarashi Taro

二〇世紀最大のトラウマとして記憶される第二次世界大戦では、アメリカも未曾有の国家総力戦を体験したが、その終結後、戦時中に発展した多くのテクノロジーを解放することになった。例えば、人間や物資の運搬技術、身体の規律法、そして量産住宅の工法。マスメディアの普及は戦争で一時的に中断したものの、この期間はコミュニケーション・テク...

『10+1』 No.14 (現代建築批評の方法──身体/ジェンダー/建築) | pp.249-260

[ラディカリズム以降の建築1960s-1990s 1]

ヴィリリオ/パランからジャン・ヌーヴェルへ──転回点としての一九六八年 | 五十嵐太郎

From Virilio/Parent to Jean Nouvel: Turning Point 1968 | Igarashi Taro

一九四五年、二〇世紀前半のテクノロジーを最大限につぎ込み、全人類の抹殺可能性さえも示すことになる第二次世界大戦が終結した。 同年、歴史上初めて光線兵器(原爆)が使用されたことにより、人類は「個としての死」から「種としての死」(A・ケストラー)を予感するようになった。 当時まだ一〇代の少年だったポール・ヴィリリオは、この...

『10+1』 No.13 (メディア都市の地政学) | pp.213-224

[ラディカリズム以降の建築1960s-1990s 3]

魚座の建築家、フランク・ゲーリー──路上から転がり続けること | 五十嵐太郎

Pices Architect, Frank Gehry: From the Road, Still Rolling | Igarashi Taro

地震とディコンストラクション 一九九五年一月一七日未明、阪神地方をマグニチュード七・二の直下型地震が襲った。 筆者は当時、エディフィカーレの展覧会の準備に忙しく、その三週間後に神戸の街を歩く機会を得た。大阪を過ぎ神戸に近づくにつれて、雨漏りを防ぐ青いビニールシートをかけた屋根が増えるのが見え、電車の窓からも被害の様子が...

『10+1』 No.15 (交通空間としての都市──線/ストリート/フィルム・ノワール) | pp.243-253

[連載 7]

思想史的連関におけるル・コルビュジエ──一九三〇年代を中心に 7 | 八束はじめ

Le Corbusier in Relation to the History of Inteligence: The 1930s 7 | Yatsuka Hajime

16 一致することと相違すること 前回では「アテネ憲章」がCIAMの内部での総決算などではなく、ル・コルビュジエ個人のヴィジョンとしての側面が強かったことを見、さらにそれを発展させたものとしてのCIAMの格子を取り上げた。そしてル・コルビュジエの思想のなかに存在する二重性について、それぞれの系譜をトレースしていこうとい...

『10+1』 No.44 (藤森照信 方法としての歩く、見る、語る。) | pp.177-190

[論考]

ル・コルビュジエ・ソニエ著『建築をめざして』初版本の謎について | 伊從勉

An Enigma of the first Edition of Ver une Architecture by Le Corbusier-Saugniere | Tsutomu Iyori

目次 はじめに 1-1    共同の署名「ル・コルビュジエ・ソニエ」:オザンファンの証言 1-2     「ル・コルビュジエ・ソニエ」を独占しようとしたジャンヌレ:オザンファンへの献辞の登場 1-3    ソニエの削除とその後も続いた共同署名「オザンファンとジャンヌレ」 2     『建築をめざして』書の諸版本 2-1...

『10+1』 No.11 (新しい地理学) | pp.199-220

[1990年代以降の建築・都市 2]

アポカリプスの都市 2001──ニューヨーク/アフガン/ベルリン | 五十嵐太郎

Apocalyptic Cities 2001: New York/Afghanistan/Berlin | Igarashi Taro

世界貿易センタービルの崩壊──二〇世紀建築の終わり 僕たちは下に降りて、外に出たんだ。それはアポカリプスの風景だった。原爆がどんなものかは知らないけれど、きっとあんな感じだと思う。         ビルの中にいた男の証言★一 巨人の鼻をへし折った。     テロ当日、パレスチナのある男性のコメント★二 世界貿易セ...

『10+1』 No.26 (都市集住スタディ) | pp.181-194

[ビルディング・タイプの解剖学 7]

自己修復する機械:工場──フォーディズムからトヨティズムへ | 大川信行+五十嵐太郎

Machines and Plants That Fix Themselves: From Fordism to Toyotism | Okawa Nobuyuki, Igarashi Taro

私は建物はバラックでも良いから幾何ら金が掛っても良い完全な製作の出来る一通りの機械を買入れる事に努力しました トヨタ自工の祖とも言うべき豊田喜一郎の言葉である。住宅と共に近代建築の黎明期では華々しく取り上げられた工場だが、技術の進歩に伴い、建築家が建築的な手法でその本質にまで食い込むことが難しい時代となった。既にトヨ...

『10+1』 No.11 (新しい地理学) | pp.33-36

[CONCEPTUAL 日本建築 6]

第六章──外廻り編 | 黒沢隆

Out Looking: Roof shape had been important in the exterior of Japanese architecture. Because one-storied building was typical, specially in the residence. However, at the civilian building in mid-town, wall and the openings design appear clearly at once. | Takashi Kurosawa

31 入母屋屋根  IRIMOYA (semi-gabled) ROOF 屋根型の意味作用 日本建築は屋根の建築だとしばしばいわれる。その屋根の代表は入母屋だとも思われてきた。それでは、入母屋は日本に固有の屋根なのだろうか──。 ちがう。仏教とともに朝鮮からもたらされた。その朝鮮には、おそらく仏教以前に中国からもたら...

『10+1』 No.41 (実験住宅) | pp.188-201

[CONCEPTUAL 日本建築 7]

第七章──作庭編 | 黒沢隆

Garden Design: Gardening is important matter in architectural design always. However, garden and building have been continual one-body, specially in Japanese residencial architecture. Furthermore, it is not inner-garden (patio), but the tempered environment of fruitful nature it's own. It may be able to say 'No-wall civilization' in all means. | Takashi Kurosawa

37 犬走り──屋内外を媒介することの実相 INU-BASHIRI (Eaves’ dropper’s lane): To be interflowed between in-side & out-side 縁側は、近世までは動線としても便利に使われたが、主として屋内と屋外とを媒介する役割を負うものだと説いてきた。し...

『10+1』 No.42 (グラウンディング──地図を描く身体) | pp.186-200

[会議4日目「国土改造」]

先行デザイン会議 第4日目──国土改造 | 清水重敦

The Fourth Day of Pre-Existing Design Summit──Urban Foundation | Shimizu Shigeatsu

先行デザイン会議  第4日目 国土改造 都市基盤整備、都市建築の耐火・耐震・永続化、ニュータウン構想。繰り返し提示されてきた国土への計画の意志であるが、それらが幻想か、あるいは限界をはらんだものであることはもう誰の目にも明らかである。永久建築やニュータウンといったかつての未来像は、今日のわれわれにとってはデザインされ...

『10+1』 No.37 (先行デザイン宣言──都市のかたち/生成の手法) | pp.131-131

[会議4日目「国土改造」]

都市連鎖研究体プロジェクト4:Fujiko──大阪湾埋立地改造計画 | 都市連鎖研究体

Catenated Design project 4: Fujiko: Landfill Reform Project in Osaka Bay | Laboratory for Catenated Cities

課題:不要な機能の埋立地を取り壊すことによって海岸線の「復元」を行なう 条件:同一エリア内における廃棄物の再利用 何十年かぶりで助松に行ってみた。白砂青松の海辺も工場地帯に変わり、家も跡形もなくなっているのに涙がでそうになった。 山本富士子「海の思い出」(「私の履歴書」第三回、日本経済新聞、二〇〇二年一二月三日)...

『10+1』 No.37 (先行デザイン宣言──都市のかたち/生成の手法) | pp.132-137

[会議4日目「国土改造」]

討議4:ディスカッション──先行デザイン宣言をめぐって | 藤森照信岡崎乾二郎連鎖都市研究会環境ノイズチーム清水重敦

Discussion4: Discussion: Over "Manifesto of Preexisting Design" | Fujimori Terunobu, Okazaki Kenjiro, Enviromental Noise Element, Shimizu Shigeatsu

清水──本日のレヴューでは、まずそれぞれのチームのデザイン手法について議論し、その後、最も大きいスケールの問題提起である四日目の会議「国土改造」で提案した「Fujiko」と「近つ飛鳥宮」の二つのプロジェクトを軸に議論を展開していきたいと思います。 欲望とコンゲン 岡崎──コンゲンカードはこの六個で全部ですか? 中谷─...

『10+1』 No.37 (先行デザイン宣言──都市のかたち/生成の手法) | pp.146-161

[会議3日目「都市基盤」]

都市連鎖研究体プロジェクト3:建築の浸透圧──天王寺廃線跡リサイクルセット | 都市連鎖研究体

Catenated Design project 3: Architectural Osmosis: Recycle-set at Tennoji Abandoned Tracks | Laboratory for Catenated Cities

課題:線状形態の都市への帰還 条件:都市の巨大遺物を利用せよ ひたすら延びる長大な空き地。廃線跡がほぼそのままの形で残っているのだ。 当初の機能を失ったその廃線跡は、いまや長い範囲に渡って人間の土地を分断するただの境界線でしかない。ヒューマンスケールを超えた遺物は、その変更困難な大きさゆえ、かえって人々の心の中で抑圧...

『10+1』 No.37 (先行デザイン宣言──都市のかたち/生成の手法) | pp.118-123

[会議3日目「都市基盤」]

先行デザイン会議 第3日目──都市基盤 | 清水重敦

The Third Day of Pre-Existing Design Summit──Urban Foundation | Shimizu Shigeatsu

先行デザイン会議  第3日目 都市基盤 都市の背後においてその骨格を支える都市基盤は、都市の公共性を保証する、本質的なファクターである。けれども、ひとたびその構造物が都市のなかに露出すると、それは他人行儀な容貌を見せはじめる。例えば鉄道。それは都市とその外部を繋ぐためのベーシックな都市要素であるにもかかわらず、目に見...

『10+1』 No.37 (先行デザイン宣言──都市のかたち/生成の手法) | pp.117-117

[会議2日目「福利更正」]

都市連鎖研究体プロジェクト2:オバケミニ開発 | 都市連鎖研究体

Catenated Design project 2: Haunted Housing | Laboratory for Catenated Cities

課題:既存の街に溶解するミニ開発を提案せよ 条件:小さくとも豊かな環境を作ること 問題・方針 ミニ開発とは、大都市やその近郊に見られる小規模な戸建て住宅群開発のことである。 細分化された敷地に建ち並ぶ小住宅は、その一つひとつが個性を強く主張しようとする。だが、その主張が行き過ぎるとかえって均質な街並みを作ってしまう。...

『10+1』 No.37 (先行デザイン宣言──都市のかたち/生成の手法) | pp.102-105

[会議1日目「市区改正」]

先行デザイン会議 第1日目──市区改正 | 清水重敦

The First Day of Pre-Existing Design Summit──City Development | Shimizu Shigeatsu

先行デザイン会議  第1日目 市区改正 まず目の前に広がる都市から始めなければならない。今日、都市計画はもはや抽象的な平面に自在に線を引くといった行為ではありえない。それは、計画される場にすでに存在する先行条件を、いかに新たな秩序へと再編成するかという問題としてのみある。 市区改正という都市計画手法が明治期の日本にあ...

『10+1』 No.37 (先行デザイン宣言──都市のかたち/生成の手法) | pp.87-87

[会議2日目「福利更正」]

先行デザイン会議 第2日目──福利更正 | 清水重敦

The Second Day of Pre-Existing Design Summit──Weal Correction | Shimizu Shigeatsu

先行デザイン会議  第2日目 福利更正 ミクロな視点からすれば、都市は私有された土地の集積としてある。そこでは土地の私有と公共性とが拮抗することで、場が成立している。 土地の私有は、時間経過とともに都市のエントロピーを増大させ、都市をいびつに変形させる。変形した都市は、私性とは別の次元にある、計画という名の上から与え...

『10+1』 No.37 (先行デザイン宣言──都市のかたち/生成の手法) | pp.101-101

[福岡]

福岡リビングコンディション──GAO/ゴースト・アーキテクト・オフィスのためのコレクション──もうひとつ別の現実:シミュラークルプロジェクトとしてのドットシティ | 石田壽一九州芸術工科大学石田研究室

Fukuoka Living Conditions: Collection for the GAO/Ghost Architects Office Dots City as the Simulative Project for the Another Alternative Reality | Ishida Toshikazu, Kyusyu Institute of Design Ishida Lab.

福岡リビングコンディション 「福岡リビングコンディション(以下FLC)」は、第二回福岡アジア美術トリエンナーレ二〇〇二に招待されたアトリエ・ワンと九州芸術工科大学石田研究室とのコラボレーションプロジェクトのタイトルである[図1─10]。プロジェクトは「GAO:ゴースト・アーキテクト・オフィスのための展示コレクション」と...

『10+1』 No.30 (都市プロジェクト・スタディ) | pp.156-171

[神戸]

変型地図(talking maps)──プログラム・デザイン・プロジェクト──神戸芸術工科大学大学院 | 鈴木明小山明橋本英治岡部憲明藤山哲朗ゼミ

talking maps: pdp: program design project | Suzuki Akira, Koyama Akira, Hashimoto Eiji, Okabe Noriaki, Tetsuo Fujiyama Seminar

プログラム・デザイン・プロジェクト(pdp)は、神戸芸術工科大学大学院のプログラム★一。学科間を横断してインターディシプリナリーなテーマに対して、モノやプログラムを作成するプロジェクトとするもの。現在「変形地図(talking maps)」をテーマに研究活動を進めている★二。プロジェクトにはゲストリサーチャーとして内外...

『10+1』 No.30 (都市プロジェクト・スタディ) | pp.172-183

[フィールドワーク]

一時停止都市のデザイン[研究編] | 一時停止都市デザインスタジオ

Design for the Paused City: Chapter of Resarch | The Paused City Design Studio

スキャンデータあり 未アップ...

『10+1』 No.38 (建築と書物──読むこと、書くこと、つくること) | pp.159-168

[構成]

内在的普遍──アーバンデザインと情報環境 | 大内宏友根來宏典

Immanent Universality: Urban Design and Information Enviroment | Ohuchi Hirotomo, Negoro Hironori

スキャンデータあり 未アップ ...

『10+1』 No.33 (建築と情報の新しいかたち コミュニティウェア) | pp.115-129

[特別掲載]

21世紀型オリンピックのための博多湾モデル | 福岡オリンピック制作総指揮室磯崎新石山修武早稲田大学石山修武研究室原田大三郎ドロップイン辛美沙Misa Shin & Co.

The Hakata Bay Model for 21st Century Olympics | Isozaki Arata, Ishiyama Osamu, Ishiyama Lab. (Waseda Univercity), Harada Daizaburo, Drop in, Shin Misa, Misa Shin & Co.

福岡オリンピック計画 2005年より、JOC(日本オリンピック委員会)は、名古屋(1988)、大阪(2008)の世界オリンピック大会会場招致の失敗の反省のうえにたって、2016年の第31回オリンピック競技大会には十分に日本への招致の可能性のある都市が立候補するように働きかけを始めた。数都市が名乗りを挙げたが、立候補意思...

『10+1』 No.43 (都市景観スタディ──いまなにが問題なのか?) | pp.25-48

[フィールドワーク]

LINK TOKYO MADRID──都市構造とライフスタイルに関する共同研究プロジェクト | ホルヘ・アルマサン・カバジェーロ伊藤喜彦久野紀光東京工業大学塚本研究室東京大学景観研究室東京大学千葉研究室筑波大学芸術学系貝島桃代研究室慶應義塾大学妹島研究室

LINK TOKYO MADRID: Joint Research Project on Urban Structure and Lifestyles | Jorge Almazán Caballero, Ito Yoshihiko, Kuno Toshimitsu, Tsukamoto Laboratory (Tokyo Institute of Technology), Landscape and Civic Design Laboratory (Tokyo University), Chiba Laboratory (Tokyo University), University of Tsukuba Institute of Art and Design Momoyo Kaijima Lab., Sejima Laboratory (Keio University)

「LINK TOKYO MADRID」(以下LINK)は都市公共空間とそこに展開される生活様式に関する共同研究を目的として、東京とマドリッド(スペイン)の複数の若手建築家と建築を学ぶ学生たちによって行なわれたワークショップである。LINKはまた、都市の在り方を問う調査と提案という一面のほかに、東京と、いま注目を浴びるマ...

『10+1』 No.44 (藤森照信 方法としての歩く、見る、語る。) | pp.161-168

[図版構成]

AND PREVI? | Supersudaca田村順子

AND PREVI? | Supersudaca, Lunko Tamura

PREVI──リマ・プロジェクト 南米ペルーの首都、リマにおける1960年代後半に行なわれた最も野心的な建築計画は、長い建築史ではもはや誰も知らない、忘れられてしまった幻の計画と化している。それは人間が初の月面着陸に成功した時代に実現した。国連からの資金提供によって実行に移されたこの計画には当時最も注目されていた建築家...

『10+1』 No.47 (東京をどのように記述するか?) | pp.193-204

[宇宙建築年表]

宇宙建築構想史 | 村上祐資前島彩子杉岡克俊

A Conceptual History of Space Architecture | Yusuke Murakami, Ayako Maeshima, Katsutoshi Sugioka

宇宙建築構想史① Stillborn Concept 日の目を見ることなく埋もれてしまっている優れたコンセプトたち 「Good artists copy, Great artists steal.」(優れたアーティストは模倣するだけだが、偉大な芸術家は単に真似をするだけでなく、それを自分のものとして取り入れ、より優れた...

『10+1』 No.46 (特集=宇宙建築、あるいはArchitectural Limits──極地建築を考える) | pp.141-148

[会議1日目「市区改正」]

都市連鎖研究体 プロジェクト1:区画復元整理 | 都市連鎖研究体

Catenated Design project 1: Rezoning & Reconstruction | Laboratory for Catenated Cities

課題:人間の道と車の道共存の根本的解決 条件:必ずすべての住戸が、道に面する+路地に面する+駐車場をもつこと 問題・方針 近世以前の集落をもとに発展した場所は、狭い路地が複雑に入り組み、裏長屋が目立つ。それは近代性の欠如と解釈され、つねに区画整理の対象とされてきた。区画整理はそれまでの都市構造を消し去り、快適な車環境...

『10+1』 No.37 (先行デザイン宣言──都市のかたち/生成の手法) | pp.88-93

[イントロダクション]

都市連鎖研究体 イントロダクション──The Tarots for Catenated Design | 都市連鎖研究体

Catenated Design: introduction──The Tarots for Catenated Design | Laboratory for Catenated Cities

連鎖式都市の建築を読む 都市連鎖研究体による[都市の書物の読み方]を紹介します。 方法 1. 書物内の挿図の大部分を抽出する。 2. 挿図の説明文を短いセンテンスで抜粋する。 3. 挿図、説明文ごとにカード化する。 4. それらを隣接して配置しセットとする。 5. それらセットを基本とし、連鎖的に関係づけられるセット...

『10+1』 No.37 (先行デザイン宣言──都市のかたち/生成の手法) | pp.77-82

[連載 8]

思想史的連関におけるル・コルビュジエ──一九三〇年代を中心に 8 | 八束はじめ

Le Corbusier in Relation to the History of Inteligence: The 1930s 8 | Yatsuka Hajime

17 機能主義という抽象モデル ル・コルビュジエの一連の都市計画のモデルは機能主義的ともいわれるわけだが、もはや自明なものとしてその思想史的な意味を問われることはむしろ少ない。もちろん、機能主義モデルは彼の専売でもオリジナルでもなく、彼は普遍化できるモデルとして構想している。その意味で彼が東方旅行で見出したさまざまの日...

『10+1』 No.45 (都市の危機/都市の再生──アーバニズムは可能か?) | pp.198-212

[技術と歴史 7]

歴史のなかの都市グリッド | 伊藤毅

The Urban Grid in History | Ito Takeshi

グリッド批判 伊藤毅──都市にはインフラストラクチャーや都市計画などいろいろな技術がありますが、超時代的に存在してきた都市のかたちはグリッドです。グリッドは時代や地域を超えて生み出され、いまなおもっとも一般的な都市のかたちということができます。しかし近代以降、グリッドは批判の的にされ続けてきました。カミッロ・ジッテの『...

『10+1』 No.45 (都市の危機/都市の再生──アーバニズムは可能か?) | pp.213-224

[連載 9]

思想史的連関におけるル・コルビュジエ──一九三〇年代を中心に 9 | 八束はじめ

Le Corbusier in Relation to the History of Inteligence: The 1930s 9 | Yatsuka Hajime

17─4  アパルトヘイト都市? 近代都市計画の最も基本的な構成要素を、面と線、つまりゾーニングの画定とそれらをつなぐ近代的インフラの整備とすれば、それが最も体系的に実践されたのは、ヨーロッパにおいてよりは植民地においてであったのではないか? 少なくともフランスにおいては(あるいは日本においても)これは該当している。近...

『10+1』 No.46 (特集=宇宙建築、あるいはArchitectural Limits──極地建築を考える) | pp.182-199

[現代建築思潮]

物質と形式──建築における想像力の問題 | 佐々木一晋田中陽輔今村創平今井公太郎日埜直彦

Material and Form: On Imagination of Architecture | Sasaki Isshin, Tanaka Yosuke, Imamura Sohei, Imai Kotaro, Hino Naohiko

ヘルツォーク&ド・ムーロン『Natural History』を読む  佐々木一晋+田中陽輔 佐々木──今日は「素材のコンテクスト」と題して、ヘルツォーク&ド・ムーロンの『Herzog & De Meuron: Natural History』(Lars M殕ler, 2002.)という著作と本年度から〈10+1web〉...

『10+1』 No.37 (先行デザイン宣言──都市のかたち/生成の手法) | pp.49-56

[モノとマチの向こうに見えるもの 2]

バリアフリーとユニヴァーサル・デザイン | 北川卓松本淳

Barrier-Free and Universal Design | Taku Kitagawa, Jun Matsumoto

水平・垂直移動 東京メトロのホームページ★一にある見慣れた東京の地下鉄路線図で駅名をクリックすると「駅構内立体図」「駅構内のりかえ立体図」「駅出入口地図(出入口からの風景が三六〇度見渡せるムーヴィー付き)」を見ることができる。なかでも「駅構内のりかえ立体図」は面白い。地下鉄を利用する際には構内や通路に掲げられたサインを...

『10+1』 No.37 (先行デザイン宣言──都市のかたち/生成の手法) | pp.29-30

[現代建築思潮]

討議:バルセロナ・オリンピック──都市の成長と発展 | 梅岡恒治岩元真明今浦友恵今井公太郎今村創平日埜直彦吉村靖孝

Barcelona Olympic, The Growth and Development of Barcelona City | Koji Umeoka, Masaaki Iwamoto, Tomoe Imaura, Imai Kotaro, Imamura Sohei, Hino Naohiko, Yoshimura Yasutaka

梅岡+岩元+今浦──今回、「現代思潮研究会」においてオリンピックによる都市改造をテーマに研究がなされることになりました。そのなかで、都市がどのように成長・発展をし、どのように計画されてきたかを概観する必要性を感じたことから、オリンピックと関連するひとつの都市を取り上げ、研究することになりました。 そこで、今回はバルセロ...

『10+1』 No.43 (都市景観スタディ──いまなにが問題なのか?) | pp.64-72

[CONCEPTUAL 日本建築 8]

第八章──モダニズム編 | 黒沢隆

Back to the MODERNISM: Through the hard researchs of 'Japonisme' by the Japanese and French estheticians or comparative culturists in 1980's, it was excavated clearly, that Impressionism in painting, Illustration in printed media, DESIGN itself on products, those were revelated deeply from the Japanese arts and crafts at that time. But, it was lapsted out from the memory as time went on. However, each time, that Modern Design specially in architecture, have built the new stage, Japan esthetics appeared again and again, deeper and deeper, finally to Mies (a last period of the prosperous Modern Times, may be). Nevertheless, 'semiologie' --one of core charactor of Japan esthetics--, has been cleared off at the new design activities. | Takashi Kurosawa

43 JAPONISME──「近代」に向かってめくられた最後の頁 Last pages towards the MODERN, which western society had to discover 高階秀爾の若き日の著作に『世紀末芸術』(紀伊國屋新書、一九六三)がある。 あたかも東京オリンピックの前年、破竹の勢い...

『10+1』 No.43 (都市景観スタディ──いまなにが問題なのか?) | pp.222-237

[サウンド+アート+サイエンス 4]

Morphology | 池上高志

Morphology | Ikegam Takashi

1 物理と化学における形 同じように見える砂粒も、一つひとつとってみるとそれぞれに異なる形をしている。貝もまたそうである。しかしそれがたくさん集まった時に起きることは、一つひとつの形とは関係ないだろう。そうでないと少なくとも自然科学の問題としてはやっかいなことになる。なぜなら要素の形を考慮に入れるのは一般に難しく、アル...

『10+1』 No.47 (東京をどのように記述するか?) | pp.43-45

[連載 10]

思想史的連関におけるル・コルビュジエ──一九三〇年代を中心に 10 | 八束はじめ

Le Corbusier in Relation to the History of Inteligence: The 1930s 10 | Yatsuka Hajime

19 植民地都市の政治学 19-1  他者たち(3)──カスバの魅惑 一九六〇年の東京世界デザイン会議はメタボリズム・グループの旗揚げとなったことでも知られているが、このキックオフのためにメタボリスト大高正人と槇文彦がデザインした新宿の群造形のプロジェクトが発表された時、そこには他の集落とともにカスバの空中写真が掲載さ...

『10+1』 No.47 (東京をどのように記述するか?) | pp.176-192

[技術と歴史 12]

デザイン・マインドと資本とのあいだで | 山名善之

Between Design Mind and Capital | Yoshiyuki Yamana

山名善之──ジャン・プルーヴェは、家具デザイナー、エンジニア、プレファブの始祖という言い方がされてきています。もちろん、彼のデザインは個人の卓越した才能によって生み出されたものであります。しかし、プルーヴェに対する私の興味はそこだけに留まらず、彼の制作態度が二〇世紀という時代においていかに実験的であったかというところま...

『10+1』 No.50 (Tokyo Metabolism 2010/50 Years After 1960) | pp.252-262

[図版構成3]

shrinking cities × fibercity @ akihabara 縮小する都市に未来はあるか? シュリンキングシティ──縮小する都市 | フィリップ・オスワルト藤野徹子真峰靖子

shrinking cities × fibercity @ akihabara: Is there a Future beyond Shrinking? shrinking cities | Philipp Oswalt, Tetsuko Fujino, Yasuko Mamine

この二〇〇年来、グローバルな規模で急速に都市化が進んでいます。一八〇〇年頃は全世界の一〇億人の人口のうち二パーセントが都市に暮らしていましたが、二〇〇〇年には約六五億人にのぼる全人口のうち五〇パーセント近い数字になりました。さらに二〇五〇年には、全人口約八五億人のうち約七五パーセントが都市に暮らしているだろうとされてい...

『10+1』 No.46 (特集=宇宙建築、あるいはArchitectural Limits──極地建築を考える) | pp.164-167

[図版構成]

BRABANT CITY 2050 | MVRDVヴィニー・マース吉村靖孝

BRABANT CITY 2050 | MVRDV, Winy Maas, Yoshimura Yasutaka

design & research: MVRDV, Winy Maas, Jacob van Rijs and Nathalie de Vries with Arjan Harbes, Gertjan Koolen, Penelope Dean, Bas van Neijenhof, Kersten Nebielek...

『10+1』 No.20 (言説としての日本近代建築) | pp.181-188

[オルタナティヴ・ダンシング 3]

「死体」について | 木村覚

About a Corpse | Satoru Kimura

すべてがリアクションであるようなダンス これまで「タスク」「ゲーム」と、一般にひとがダンスなるものについて抱くイメージからはほど遠いキーワードをとりあげて、今日的な「もうひとつのダンス」の在処を探ってきた。言い換えればそれは、米国のジャドソン教会派を中心とする一九六〇年代のアヴァンギャルドなダンスのムーブメントへと立ち...

『10+1』 No.50 (Tokyo Metabolism 2010/50 Years After 1960) | pp.37-39

[技術と歴史 11]

環境デザインは進化しているか | 小玉祐一郎

Is Environmental Design Evolving? | Yuichiro Kodama

省エネルギーの多様化 建築においても、「持続可能性(サステイナビリティ)」が重要な概念となってきましたが、サステイナブルという言葉の定義が必ずしも明確なわけではありません。ワールドウオッチ研究所の所長をしていたレスター・ブラウンが一九八一年に『持続可能な社会の構築』という本を著し、「われわれの住んでいる環境は先祖からの...

『10+1』 No.49 (現代建築・都市問答集32) | pp.180-189

[地上にて 1]

安全への二二キロ | 石川初

22km to Safety | Ishikawa Hajime

防災のデザイン 今年(二〇〇七)五月、六本木のAXISギャラリーにおいて、「Exit to Safety─デザインにできること」と題した展覧会が開催された。都市型大地震を想定した「防災」をデザインする、というテーマのもと、分野の異なるデザイナー七組が参加し、シェルターやシートとして使える衣服や、飲料水のペットボトルが格...

『10+1』 No.48 (アルゴリズム的思考と建築) | pp.206-214

[技術と歴史 10]

サステイナブル・デザインを遡る | 野沢正光

Tracing Sustainable Design | Masamitsu Nozawa

シミュレーション技術の向上と設計の変化 野沢正光──一九七〇年代、第一次、第二次と立て続けに「オイルショック」という問題が起きました。一九七二年には、ローマクラブが「成長の限界」というレポートで資源の枯渇についての深刻な予測を発表しています。この頃から資源と環境の問題がたいへん大きなものになっていくのです。人類は生き延...

『10+1』 No.48 (アルゴリズム的思考と建築) | pp.215-225

[論考]

セシル・バルモンドのデザインと数学的思考の関連は何ですか? | 田中陽輔

What is the Association between Cecil Balmond's Design and Mathematical Thought? | Tanaka Yosuke

1  ヒューリスティクス セシル・バルモンドが革新的である点は、建築の形態決定プロセスに「ヒューリスティクス(発見的手法)」の概念を持ち込んだことにある。「ヒューリスティクス」とは自然科学や工学において、ある複雑な問題に対し近似解や知識を発見的に求める手法である。原理や理論から演繹的に解を求める方法とは異なり、乱数や確...

『10+1』 No.49 (現代建築・都市問答集32) | pp.104-105

[論考]

卒業設計、修士設計のメディア化。 何が起きているのですか? | 五十嵐太郎

Graduate-Design and Master-Design as Media. What has Occurred? | Igarashi Taro

卒業設計に関しては、空前の事態を迎えていると言っていいだろう。 以前から鉱脈はあったのだが、それが二〇〇三年に始まったせんだいメディアテークの卒業設計日本一決定戦によって一気にブレイクし、マグマとなって噴きだしたような感じである。実際、それまでにも京都六大学の合同卒計展、九州の学生デザインレビュー、横浜赤煉瓦倉庫の卒計...

『10+1』 No.49 (現代建築・都市問答集32) | pp.82-83

[批評]

インタラクティヴェーター──進化論的デザインの試み | ジュリア・フレーザージョン・フレーザー+横山亮

Cyber-Architecture:Towards Universal Procedures | Julia Frazer, John Frazer, Yokoyama Ryou

私たちは誤ってサイバースペースに落ちた。ロンドンのアーキテクチュラル・アソシエーション・ギャラリーで自著『進化論的建築(An Evolutionary Architecture)』についての展示を準備している最中に。私たちはこの展示と本★一によってアーツ・カウンシルの助成金を与えられていたが、あとになって、これを授与さ...

『10+1』 No.06 (サイバーアーキテクチャー) | pp.90-99

[批評]

ヴァーチュアル・ワールドの逆説的イメージ 空間と場の新たな理論構築へ向けて | ジョン・フレーザー+横山亮

The Paradoxical Image of the Virtual World: Towards a New Theory of Spaces and Places | John Frazer, Yokoyama Ryou

私たちはまず自分の個人的目的のためにサイバースペースをつくりだし、それから他の人びとを招きいれて、その空間を共有する。サイバースペースの本質をどう理解するかについては見解の分かれるところであるし、私のアプローチが特別にすぐれていると主張する気もない。私自身はある目的のための手段としてサイバースペースを利用しだしたが、そ...

『10+1』 No.06 (サイバーアーキテクチャー) | pp.100-103

[批評]

非環境破壊性・複合性・サイバースペースに関する現代理論の収束──建築はどこへ行くのか | マニ・ラストラージ+横山亮

The Convergence of Contemporary Theories of Sustainability, Complexity, and Cyberspace: Where is Architecture Heading? | Manit Rastogi, Yokoyama Ryou

本稿では、本質的に異なると思われるような三つのテーマをとりあげる——すなわち、社会的に目覚めつつあるエコロジカルな意識、複 合 性(コンプレクシテイ)に関するニューサイエンスがきりひらいた新空間、そして、コンピュータ・テクノロジーという環境が社会と文化にもたらす影響。本稿は、この三つのテーマを収束させることにより、応用...

『10+1』 No.06 (サイバーアーキテクチャー) | pp.104-119

[論考]

『スウィーツ』カタログのユートピアは如何に思考されたか ──「The Works of Charles and Ray Eames: A Legacy of Invention」 展覧会レポート (アメリカ議会図書館ギャラリー、ワシントンD.C.) | 石崎順一

How the Utopia of the メSuitsモ Catalogue Has Been Thought-Out | Ishizaki Junichi

アメリカ議会図書館は、アメリカ建国以来の自国の文化を築き上げてきた証としての広範な資料の収蔵・研究を行なっているが、本展覧会は同館が所蔵するイームズ資料を中心にヴィトラ・デザイン・ミュージアムの家具コレクションほかを加え、イームズの仕事をアメリカの二〇世紀をドライブした重要なファクターとして、広く国民に紹介しようとする...

『10+1』 No.18 (住宅建築スタディ──住むことと建てることの現在) | pp.182-183

[論考]

イームズ自邸についての考察 | ビアトリス・コロミーナ後藤武

Beatriz Colomina | Beatriz Colomina, Goto Takeshi

だからともかくも、私にとってそう見えるのかもしれないが、ミースを通して、ミースの多くを拒絶することを通して、しかしそれでもミースを通して、《イームズ自邸》は生まれた。それはまったくオリジナルで、まったくアメリカ的だ。 ピーター・スミッソン★一 出版された最も古いその住宅の写真には、トラックが一台写っている。トラックは...

『10+1』 No.18 (住宅建築スタディ──住むことと建てることの現在) | pp.166-181

[批評]

日常性と「他者」の空間 | メアリー・マクレオード+佐藤美紀

Everyday and "Other" Spaces | Mary McLeod, Sato Miki

「現在最も熱狂的に受け入れられている建築理論と言えば、「他者」と「他者性」というコンセプトである。『Assemblage』、『ANY』などの出版物や、プリンストン、コロンビア、SCI-Arc、AAスクールといった建築教育機関と関わりをもつことの多い、いわゆるネオ・アヴァンギャルドと呼ばれる建築家と批評家は、何らかのかた...

『10+1』 No.16 (ディテールの思考──テクトニクス/ミニマリズム/装飾主義) | pp.188-205

[批評]

神話とモダニズム──バウハウス・プロジェクト一九一九―一九九九 | 大口晃央

Myth and Modernism: Bauhaus Project 1919-1999 | Okuchi Akio

バウハウス設立八〇周年記念祭行事──バウハウス・デッサウ財団 一九一九年四月のグロピウスによる「ワイマール国立バウハウス」開校八〇周年を記念し、本年ワイマール市と同市のバウハウス大学ワイマール及びバウハウス美術館、デッサウ市のバウハウス・デッサウ財団、ベルリン市のベルリン・バウハウス資料館では、数々の記念行事が盛大に開...

『10+1』 No.17 (バウハウス 1919-1999) | pp.66-80

[論考]

様式がはがれ落ちる時、あるいは構造合理主義という形而上学 | 八束はじめ

When Style Comes Off, or the Metaphysics of Structural Rationalism | Yatsuka Hajime

明治建築史を語る際に必ず言及されないではおかないほどに良く知られたイヴェントに建築学会でのシンポジウム「我国将来の建築様式を如何にすべきや」、いわゆる「様式論争」があるが、この背後には、日露戦争後のナショナリズムの高揚があることは言うを俟たない。ナショナル・スタイルの希求は、「洋才」を追及したとしても「和魂」を保持しよ...

『10+1』 No.20 (言説としての日本近代建築) | pp.99-106

[批評]

三次元仮想空間表現技術:VRML──建築分野における可能性 | 山本精一

Techniques for Representing Three-Dimensional Virtual Space: The Architectural Potential of VRML | Yamamoto Seiichi

三次元仮想空間とインターネット 一九六○年代のIBMに代表される大型(汎用)コンピュータの出現以来、コンピュータは高速化及び適用分野の拡大に伴って、単なる数値計算以外の極めて幅広い分野にまで導入されるに至っている。したがって、その社会インフラ的な側面を考えると、コンピュータは現代の社会生活と切っても切れない存在となって...

『10+1』 No.06 (サイバーアーキテクチャー) | pp.141-151

[スタディ]

バックミンスター・フラーの現代性 | 難波和彦山代悟谷口景一朗林盛逸見豪森田悠詩

Rediscovery of R.Buckminster Fuller | Namba Kazuhiko, Yamashiro Satoru, Taniguchi Keiichiro, Hayashi Sei, Hemmi Go, Morita Yushi

リチャード・バックミンスター・フラー(1895-1983)は、20世紀最大のテクノロジストであり哲学者である。彼は近代建築の巨匠ル・コルビュジエ(1887-1965)やミース・ファン・デル・ローエ(1886-1969)より少し若いが、彼らとほとんど同時代を生き抜いた。アメリカで生まれ育ったフラーは、ヨーロッパ生まれのモ...

『10+1』 No.49 (現代建築・都市問答集32) | pp.155-166

[批評]

ル・コルビュジエ、オリエンタリズム、コロニアリズム | ザイネップ・セリック+篠儀直子

Le Corbusier, Orientalism, Colonialism | Zeynep Celik, Shinogi Naoko

ル・コルビュジエはその長い経歴をつらぬいて、イスラムの建築と都市形態とに魅了されつづけていた。生涯にわたるこの関心が最初に力強く宣言されるのは、一九一一年、「オリエント」での旅行ノートとスケッチにおいてである。「オリエント」とは一九世紀から二○世紀初頭にかけてのディスクールにあっては曖昧な場で、中東から北アフリカにかけ...

『10+1』 No.10 (ル・コルビュジエを発見する) | pp.200-217

[批評]

戦線──「E1027」 | ビアトリス・コロミーナ篠儀直子

Battle Lines: E.1027 | Beatriz Colomina, Shinogi Naoko

個人の人格がこれほど多くに分裂している時代では、おそらく怒りが最大のインスピレーションである。とつぜんにひとつのものが、ひとつの要素のなかでのすべてとなるのだ アイリーン・グレイ、一九四二年 「E1027」。一軒のモダンな白い家が、フランスのカップ・マルタン[マルタン岬]のロクブルンヌという人里離れた場所で、地中海か...

『10+1』 No.10 (ル・コルビュジエを発見する) | pp.218-226

[批評]

家具と女性性 | メアリー・マクレオード+毛利嘉孝

Furniture and Feminity | Mary McLeod, Mori Yoshitaka

ここで取りあげるのは、シャルロット・ペリアンがル・コルビュジエとピエール・ジャンヌレと共にデザインをした家具と、二人のインテリア全般のアプローチに与えた彼女の影響である。彼女は第二次世界大戦の初めにコルビュジエのアトリエを離れたが、そのままアトリエと緊密な関係を続けていた。その家具は今日再び生産されているが、現代の工業...

『10+1』 No.10 (ル・コルビュジエを発見する) | pp.227-234

[批評]

2 into 1──スタイン─ド・モンジー邸の思考プロセス | マルク・デュボワ+三宅理一

2 into 1: The Planning Process of Villa Stein-De Monzie | Marc Dubois, Miyake Riichi

コーリン・ロウは、『アーキテクチュラル・レビュー』誌一九四七年三月号で、ル・コルビュジエの「スタイン─ド・モンジー邸」(一九二六─二七)の平面とパラディオのヴィラ・マルコンテンタのそれを比較し、世界中の注目を集めた。そのことに刺激され、このル・コルビュジエのヴィラは数多くの研究者の研究対象となったのである★一。しかし、...

『10+1』 No.10 (ル・コルビュジエを発見する) | pp.191-197

[批評]

ディープ・スキン | マーク・ウィグリー松畑強

Deep Skin | Mark Wigley, Matsuhata Tsuyoshi

ル・コルビュジエが白い服をたえず褒めたたえたのはもちろん、色彩の過剰を攻撃していたからである。『今日の装飾芸術』で彼は白く塗りつぶすことを実に熱心に宣伝し始めたが、これは色彩をファッショナブルに使うことを批判し始めたのとちょうど同じ箇所においてである。この書は第一○章の「建築の時」が宣言されるまでゆっくりと、しかしだん...

『10+1』 No.10 (ル・コルビュジエを発見する) | pp.95-112

[翻訳]

周辺から主流へ──東京エスニック・ランドスケープ | シェリー・ブレイク+山家京子

From the Periphery into the Mainstream── Tokyo's Ethnic Landscapes New Mexico | Sheri Blake, Yamaga Kyoko

主流へと参入するエスニック・ビジネス 新宿区歌舞伎町二丁目と大久保一丁目の境界に位置する職安通りには、一九八○年代後半から姿を現わし、ハングル文字の看板が掲げられたコリアンタウンが広がっている。そこにはレストランや小さな工場があり、食料品店では韓国の食材だけでなく種類豊富な韓国語の新聞や雑誌も販売している。それは戦前...

『10+1』 No.04 (ダブルバインド・シティ──コミュニティを超えて ) | pp.119-133

[批評]

肉屋の店先──ピクチャレスクの美学と建築とに見られる嫌悪 | ジョン・マッカーサー+篠儀直子

The Butcher's Shop: Disgust in Picturesque Aesthetics and Architecture | John MacArthur, Shinogi Naoko

建築の参照能力と美的能力はピクチャレスクにおいて切り開かれた部分があり、これらの持つ不確かさを建築はまだ克服していない。建築はわれわれに喜びを与えるものであろうか、それとも教え導くものであろうか。社会形態と生産にまつわる世界からは自由で平行的な位置にあるものであろうか、それともこの社会の秩序(エコノミー)の物質的なあ...

『10+1』 No.09 (風景/ランドスケープ) | pp.170-181

[批評]

ミニマリズムと装飾主義──二つの近代宗教建築をめぐって | 五十嵐太郎

Minimalism and Ornamentalism:A Look at Two Modern Religious Architectures | Igarashi Taro

カオダイ教とは何か 一九九八年の夏、ヴェトナムを訪れる機会があった。主な目的はカオダイ教という新宗教の聖地を訪れることだった。一九九〇年代に入り、ドイモイ(刷新)政策の追い風を受けて、ヴェトナムの建築・都市研究は過熱し、近代建築や保存すべき古建築の調査は確実に蓄積され、ある程度知られるようになった★一。しかし、二〇世紀...

『10+1』 No.16 (ディテールの思考──テクトニクス/ミニマリズム/装飾主義) | pp.155-163

[批評]

テクトニック、という視座をめぐる省察 | ケネス・フランプトン南泰裕

Reflections on the Scope of the Tectonic Kenneth Frampton | Kenneth Frampton, Minami Yasuhiro

現代建築の歴史は必然的に多様なものであり、雑多ですらあるだろう──建築そのものから離れた、人間的な環境を形成するための構造の歴史。そしてそれらの構造を統制し方向づけようとする歴史。そうした試行の政策や方法を考案しようとした知識人たちの歴史。完全で明確な言葉へと辿り着くことを断念した、新しい言語についての歴史。これらの歴...

『10+1』 No.16 (ディテールの思考──テクトニクス/ミニマリズム/装飾主義) | pp.129-154

[香港]

23:OMAアジア:コンセプトとしてのタブラ・ラサ | 木下光

OMA Asia: Tabula Rasa as a Design Concept | Kinoshita Hikaru

アーロン・H・H・タン Aaron H. H.Tan:1963年シンガポール生まれ。1994年、レム・コールハースとともにOMAアジアを設立し、翌年より同ディレクターを務める。主なコンペ受賞=「広州国際コンヴェンション+エクシビジョン・センター」、「オーチャード・マスタープラン」、「北京国際金融センター」など。主な作品...

『10+1』 No.22 (建築2001──40のナビゲーション) | pp.128-129

[論考]

26:ユニット派あるいは非作家性の若手建築家をめぐって | 五十嵐太郎

The Unit Group: On the Non-Authorship of Young Architects | Igarashi Taro

メディアがユニット派を注目する 今年の後半、飯島洋一による「ユニット派批判」の論文が話題になった★一。ユニット派とは何か。アトリエ派の建築家が強いカリスマ的な指導者であるのに対し、ユニット派では複数の若手建築家がゆるやかな組織をつくる。しかも、一九六〇年代生まれがどうやら多い。こうした傾向が建築の雑誌で最初に注目された...

『10+1』 No.22 (建築2001──40のナビゲーション) | pp.134-145

[日本]

31:遠藤秀平:連続する曲面による空間の可能性──遠藤秀平と連綿体の建築 | ケヴィン・ニュート五十嵐光二

Shuhei Endo: Potential of Space Consists of Continuous Curved Surface | Kevin Nute, Igarashi Koji

1960年生まれ。86年、京都市立芸術大学大学院修了。88年、石井修/美建設計事務所を経て、遠藤秀平建築研究所設立。98年より神戸芸術工科大学非常勤講師。主な作品=《Cycle station 米原》(94)、《Transtation 大関》(97)、《Springtecture 播磨》(98)、《R//A》《R//B...

『10+1』 No.22 (建築2001──40のナビゲーション) | pp.154-157

[スペイン]

15:アクタール/アクタール・アルキテクトゥーラ:メディアと建築家 | 坂本知子

actar/actar arquitectura: Medias and Architects | Sakamoto Tomoko

©actar©actar arquitecturaactar:1993年にRamon Pratらによって結成された出版社。もとは『Quaderns』の編集を中心として活動していたが、1994年以降、建築書を中心とする多くのグラフィック本を出版している。2000年、『verb』を刊行(予定)。 actar arquite...

『10+1』 No.22 (建築2001──40のナビゲーション) | pp.112-113

[イタリア]

13:アンドレア・スティーパ:隙をつき隙間を埋める設計手法 | 柳志野

Andrea Stipa: Design Method which Exploits Gaps to Fill Gaps | Yanagi Shino

1964年シチリア生まれ。89年ローマ大学建築学部卒業後、渡米。アイゼンマン事務所に勤務し、コロンビア大学マスターコースに通う。現在はローマで自分の事務所をかまえ、設計を行なっている。 史跡財産の保存と新しい建築  ファッション雑誌のグラビアでもお馴染みのようにイタリアといえばデザインの宝庫と思われがちである。実際ア...

『10+1』 No.22 (建築2001──40のナビゲーション) | pp.108-109

[都市史/歴史]

方法論の展開──90年代都市史文献序説 | 奈尾信英岩谷洋子

The Development of Methodology: An Introduction to Books on Urban History Published in the 90s | Nao Nobuhide, Iwaya Yoko

都市史における五つの潮流 一九九〇年代の都市史関係の文献を回顧すると、それには大きく分けて次の五つの潮流があるように思われる。まずひとつめは新たな都市権力論の登場であり、二つめは建築における都市「公共性」論の確立、三つめは八〇年代から培われた場所論の展開、四つめは景観・風景論の萌芽、最後の五つめは学際的研究の深化による...

『10+1』 No.19 (都市/建築クロニクル 1990-2000) | pp.120-123

[論考]

無印な風景──九〇年代、OMA/レム・コールハースのアーバニズム | 上原雄史

Generic Landscape: The Urbanism of OMA/Rem Koolhaas, 90s | Uehara Yushi

OMA(Office for Metropolitan Architecture)は、著作・建築・都市などジャンルを超えた創造活動を行なう建築家組織だ。彼らは、一九七八年のデビュー以来、複数の建築家が対等な立場でプロジェクトを計画する都市的な新鮮さを持ち続けてきた。彼らの新しさは、都市的なパラダイムが原動力である。ここ...

『10+1』 No.19 (都市/建築クロニクル 1990-2000) | pp.165-172

[翻訳]

ネクスト・バビロン、ソフト・バビロン──(トランス)アーキテクチャーとは、戯れの場としてのアルゴリズムである | マーコス・ノヴァック松永太郎

Next Babylon, Soft Babylon: (trans)Architecture is an Algorithm to Play in | Marcos Novak, Matsunaga Taro

高名だが高齢の科学者が、それは可能であると言えば、彼はほとんど確実に正しいことを言っているが、それは不可能であると言えば、間違っているのはまず確かである。 アーサー・C・クラーク★一 イデアは、否定を知らない。 ジル・ドゥルーズ★二 ニュースペースへむけての公 理(アキシオム) <箇条書き>10 アートとは、道...

『10+1』 No.19 (都市/建築クロニクル 1990-2000) | pp.192-203

[論考]

ポスト・ロマンティシズムの住宅へ向けて──住居の境界を巡るデザインの軌跡 | 山中新太郎

Toward the House of Post-Romanticism: The Traces of House Border Design | Yamanaka Shintaro

二〇世紀の前提 住宅が演じた役割以上のものを、二〇世紀の他のビルディング・タイプはなにひとつ演じていないと、ビアトリス・コロミーナは語っている★一。確かに、二〇世紀ほど住宅が脚光を浴びたことはなかった。共通の命題は、いかに住宅を供給するかということであった。「万人のための住宅」、「Houses like Fords(住...

『10+1』 No.28 (現代住宅の条件) | pp.100-109

[素材─構造]

4:ヘルツォーク&ド・ムーロン《プラダ ブティック青山》──豪奢な意匠の合理性 | 今村創平

Herzog & de Meuron,"Prada Aoyama Tokyo" : Rationality of Luxurious Design | Imamura Sohei

ヘルツォーク&ド・ムーロンは変わったのだろうか。 彼らが世界中から注目を浴びるようになった初期の頃、彼らの作品は、スイス・ミニマリズムといったグループとして認識されるような、シンプルで静謐なものだと理解されていた。例えば、初期の作品群のなかからいくつか見てみると、《ストーン・ハウス》(一九八八)、《ゲーツ・コレクション...

『10+1』 No.35 (建築の技法──19の建築的冒険) | pp.100-103

[インタビュー]

透明なディテール──建築の消去作業としてのデザイン | 伊東豊雄槻橋修

Transparent Detail: Design as Erasure | Ito Toyo, Tsukihashi Osamu

〈もの〉ではなく、その効果 槻橋修──今回のインタビューにあたり、伊東さんの作品を言説を含め改めて見直したのですが、一九八四年の《シルバーハット》[図1]の頃から「建築を消したい」という発言が頻出するようになってきます。僕たちがこの「建築を消す」という言葉で想起するのはやはり「透明性」という概念です。これは伊東さんが翻...

『10+1』 No.16 (ディテールの思考──テクトニクス/ミニマリズム/装飾主義) | pp.70-79

[批評]

ミース・ファン・デル・ローエ──柱と壁の系譜 | ゲヴォーク・ハルトゥーニアン五十嵐光二

Mies van der Rohe : The Genealogy of Column and Wall | Gevork Hartoonian, Igarashi Koji

六〇年代以降、ミースはポストモダン建築の保守的なセクトと急進的なセクトのどちらからも批判の標的とされてきた。「より少ないのは退屈である(レス・イズ・ボア)」というロバート・ヴェンチューリのモットー、ミシガン湖に沈みゆくクラウン・ホールを描いたスタンリー・タイガーマンのフォトモンタージユ、それらによって示されるのは、ミー...

『10+1』 No.16 (ディテールの思考──テクトニクス/ミニマリズム/装飾主義) | pp.102-109

[批評]

建築部品に宿るもの | 佐藤考一

Things that Inhabit Architectural Components | Sato Koichi

細部に神は宿るか? 誤解を恐れずに言えば、建築のディテールとは物同士のジョイント部分に過ぎない。もし、こうした言い方が勇まし過ぎるとすれば、技術上の課題となるディテールはジョイント部分に集約される、と言い換えてもよいであろう。いずれにしても神が宿る余地など残されていない直接的な見方かもしれない。しかし、「工業化」という...

『10+1』 No.16 (ディテールの思考──テクトニクス/ミニマリズム/装飾主義) | pp.114-116

[建築を拓くメディア]

マテリアル・イマジネーション | 丸橋浩

Material Imagination | Marubashi Hiroshi

マテリアルが建築を誘導する。 ヘルツォーク&ド・ムーロンやピーター・ズントーらの建築を通して、私たちはその事実を目撃した。彼らの作業がもたらした建築におけるマテリアルの可能性とは、ひとつには建築における表層の復権であり、もうひとつは建築の組成を再編成させるマテリアルの可能性である。ヘルツォーク&ド・ムーロンの建築が提示...

『10+1』 No.38 (建築と書物──読むこと、書くこと、つくること) | pp.116-117

[建築家的読書術]

ワンダフル・デザイン | 渡辺誠

Wonderful Design | Watanabe Makoto

スティーヴン・ジェイ・グールド『ワンダフル・ライフ』──生物を設計すること 生物一般を「設計された」ものと思ってみると、その「設計者」はどうみてもただものではない。例えば蚊のような数ミリの極小パッケージに、飛翔機能を与え、赤外線とCO2センサに分子アンテナを載せ、吸引ポンプと内燃機関、燃料タンクを装備し、CPUを積み、...

『10+1』 No.38 (建築と書物──読むこと、書くこと、つくること) | pp.98-99

[制度─都市]

4:OMA「ホイットニー美術館」増築案──政治と芸術の境界線 | 末廣香織

OMA, NEWHITNEY: A Line Between Politics and Art | Suehiro Kaoru

美術館の変容とexperience(c) 美術館はそもそも絵画や彫刻などの収蔵品を永久保存して貯めてゆく性格のものだった。しかし伝統的なアートのカテゴリーは、時代とともにアースワーク、インスタレーション、メディア・アートなどへと領域を拡大し、今では漫画やアニメまでが美術館での展覧会の対象となっている。こうなると美術館で...

『10+1』 No.35 (建築の技法──19の建築的冒険) | pp.144-147

[自然─環境]

2:手塚建築研究所《越後松之山「森の学校」キョロロ》──ランドアーキテクチャー | 柳沢潤

Tezuka Architects, "Echigo-Matusnoyama Natural Science Museum "Kyo-roro'": Landarchitecture | Yanagisawa Jun

風景としての建築 日本においてランドスケープという言葉が認識されたのはいつ頃からだろうか。今から十数年前、大学院の英語の入試で「Landscape design」という単語を苦し紛れに「風景設計」と訳したのを覚えている。つまり当時はまだいまのようにカタカナを使った「ランドスケープ・デザイン」という言葉がそれほど社会的に...

『10+1』 No.35 (建築の技法──19の建築的冒険) | pp.152-155

[批評]

地下と高架──擬似都市の建築 | トレヴァー・ボディ+末廣幹

Underground and Overhead:Building the Analogous City | Trevor Boddy, Suehiro Miki

街路の歴史は文明と同じくらい古く、ありとあらゆる人の接触、摩擦、寛大さとともに、人間のつくりだしたほかのもの以上に、公的な生活というものを象徴してきた。だから、誰も街路が影響を受け易く、脆いものだと考えはしなかったであろう。だが北アメリカ全土にわたって、ダウンタウンの道路は、今やゆっくりと、静かに、しかしながら効果的に...

『10+1』 No.02 (制度/プログラム/ビルディング・タイプ) | pp.147-169

[論考]

視線と意匠──郊外ニュ─タウン試論 | 若林幹夫

Design and Eye | Wakabayashi Mikio

I 現実としての模像 集合住宅の一大展示場である多摩ニュータウンのなかで、もっとも人目をひく場所の一つは、京王堀之内駅前の斜面に並んだ一群の住宅団地である。「ライブ長池」という名の全体計画に基づいて一九九○年に「街開き」が行なわれたというこの地域に立ち並ぶ、エミネンス長池、コリナス長池、コープタウン長池、ヴェルデ秋葉...

『10+1』 No.01 (ノン・カテゴリーシティ──都市的なるもの、あるいはペリフェリーの変容) | pp.116-123

[論考]

笑う路上観察学会のまなざし 都市のリズム分析へ向けて | 南後由和

The Laughing Gaze of the Roadway Observation Society: Analyzing Urban Rhythm | Yoshikazu Nango

一 まなざしの送り返し 一九六〇年代前半から勃興しはじめたデザイン・サーヴェイが、保存の問題や設計リソースの収集という「有効性=有能性」を保持していたのに対して、六〇年代後半、雑誌『都市住宅』に連載されていたコンペイトウ★一や遺留品研究所★二などの活動は、前期のデザイン・サーヴェイがもつ「有効性=有能性」に対する批判と...

『10+1』 No.44 (藤森照信 方法としての歩く、見る、語る。) | pp.108-119

[論考]

景観の先を見よ | 太田浩史

Look beyond Landscape | Ota Hiroshi

都市への想像力 先日、建築学科の学生と話をしていたら、ひとつ驚かされたことがあった。東京でいちばん好きなのは表参道だという話だったので、ホコ天がなくなったから僕にはつまんないねと言ってみたら、そんな話は聞いたことがないという。彼女はどうやら現代建築が並ぶ今の様子が気に入っていたらしく、八〇年代の竹の子族、九〇年代のバン...

『10+1』 No.43 (都市景観スタディ──いまなにが問題なのか?) | pp.162-172

[資料]

柏の葉アーバンデザインセンター/UDCK | 日高仁

Urban Design Center Kashiwa-no-ha | Jin Hidaka

柏の葉アーバンデザインセンター/UDCKは、新しく開通したつくばエクスプレス線、柏の葉キャンパス駅周辺の地域を中心に、まちづくりの提案と議論を行なうための場として構想され、2006年11月20日オープンした。ここでは、街づくりやアート関連のさまざまな展示やイヴェントが行なわれる予定であり、地域と大学、民間企業や関係機関...

『10+1』 No.45 (都市の危機/都市の再生──アーバニズムは可能か?) | pp.77-77

[論考]

先行建築学のすすめ バイパスとしての藤森式都市建築保存論 | 清水重敦

Lead to Pre-Existing Architectonics: Fujimori-type Preservation of Urban Architecture as Bypass | Shimizu Shigeatsu

建築の保存には理論など不要である。ただ実践あるのみ。折に触れて、藤森照信はこう語っている。確かに、藤森が正面から保存について語った論考を目にすることはほとんどない。 筆者は、日本で建築保存の概念が生まれた明治期の様相について研究をしている。これまで何度か藤森の指導と助言を受けてきたが、藤森が問う内容はいつも、保存の概念...

『10+1』 No.44 (藤森照信 方法としての歩く、見る、語る。) | pp.120-125

[翻訳論文]

ブールヴァールの終焉 | ジョン・R・ゴールド加藤政洋

The Death of the Boulevard | John R. Gold, Masahiro Kato

各時代の指導精神は、サント・シャペルからリヴォリ街に至る、その時代を記念するような建造物のなかに具象化されている。しかし、この素晴らしい遺産は混乱しきった街中に置かれ、記念碑的な建造物も錯綜した街路に囲繞されて、孤立させられていた。ナポレオン三世のもとでセーヌ県の知事を務めたジョルジュ・ユジェーヌ・オスマン(一八○九—...

『10+1』 No.34 (街路) | pp.125-136

[論考]

電子自治体論──都市計画のなかのコミュニティウェア | 小林隆

Design for e-Government Communityware in City Planning | Takashi Kobayashi

コミュニティウェアへの期待 R・M・マッキーバーが著書『コミュニティ』で、コミュニティの概念規定を社会学において初めて登場させたのは一九一七年で、今から約九〇年前のことである★一。この時期は、経済不況から第一次世界大戦が勃発しており、社会は不安のなかにある。マッキーバーは、当時の一元的で、中央集権的な国家観を批判して、...

『10+1』 No.33 (建築と情報の新しいかたち コミュニティウェア) | pp.130-134

[翻訳論文]

わたしはビデオカメラである | フィリップ・タボール加藤政洋

I Am a Videocam | Philip Tabor, Masahiro Kato

建築は死んだ。わたしはその死亡記事を読んだのである。ひとりの文化分析者が「建築─彫塑の時代を経て、今やわたしたちは映写的な作為性の時代にいる……これからの建築は単なる映画にすぎない」と書いているのだ★一。あるいは、建築を「見世物の半電子的な視覚標識」と呼ぶ者たちもいる。しっかりと場所に固定されて不活発であるため、エーテ...

『10+1』 No.33 (建築と情報の新しいかたち コミュニティウェア) | pp.163-171

[プロジェクト・論考]

虚体バンクとしての路地──課題「軒切りサバイバルハウス」で見えてきたもの | 中谷礼仁

The Possibility of the Passageway in the Results of the "Noki-Giri Survival House" Challenge | Nakatani Norihito

「軒切り」という言葉を耳にして、どういうイメージを抱かれるだろうか。筆者自身の場合は、近代大阪の都市計画事業を調べているときに初めて知った言葉なのであった。それはどうやら、市電の敷設や道路の拡幅事業に伴う家屋正面の削減や後退のことを意味していたらしい。それら事業の激しかった大正時代に、街中から自然に生まれた言葉であった...

『10+1』 No.34 (街路) | pp.113-118

[事例]

「影」のデザイン | 岡部友彦

"Shadow" Design | Okabe Tomohiko

横浜寿町 神奈川県横浜市。日本で第二位の人口を抱えているこの都市は、東京湾に面した西区、中区に主な機能が集中しており、湾岸には、みなとみらい21地区、関内、中華街、元町と、横浜を代表する観光地が連なっている。 現在の湾岸高速線上に、かつて堀と関所が存在しており、その内部という意味で関内と呼ばれたのに対して、堀の外側の部...

『10+1』 No.45 (都市の危機/都市の再生──アーバニズムは可能か?) | pp.95-101

[構造・材料]

宇宙にひらく、三次元展開構造物 | 十亀昭人

Structures: 3-D Deployable Structures in Space Environment | Akito Sogame

一九五二年、建築家リチャード・バックミンスター・フラーは、線材による折りたたみ可能な「ジオデシック・ドーム」を完成させた。[図1]は展開されたドームとその構成部材の図である。 アメリカ・コーネルに建てられたこの二〇フィートの構造物は、紛れもなく既存の構造概念を超え、当時のアメリカ人たちの驚嘆の声を誘うに十分であった。彼...

『10+1』 No.46 (特集=宇宙建築、あるいはArchitectural Limits──極地建築を考える) | pp.96-99

[設計思想・教育]

ヒューストン大学SICSAのデザイン思想 | 関戸洋子

The Sasakawa International Center for Space Architecture Design Concepts | Yoko Sekido

アメリカ合衆国南部、テキサス州ヒューストンといえば、NASA。そのNASAとも関連深い、笹川国際宇宙建築センター(通称SICSA=Sasakawa International Center for Space Architecture)がヒューストン大学にある。私は、SICSAに二〇〇五年夏までの約一年間、客員研究員と...

『10+1』 No.46 (特集=宇宙建築、あるいはArchitectural Limits──極地建築を考える) | pp.156-157

[設計思想・教育]

“極限”への挑戦──ラルフ・アースキンによる極地建築のデザイン構想 | オスカル・アレナレス畑中菜穂子

Approaching the Extremes: Ralph Erskine's Conception of Design for Extremes Space Architecture Design Concepts | Oscar Arenales, Naoko Hatanaka

建築家ラルフ・アースキンは、北極圏や極地帯などの厳しい環境条件における住宅設計によって、非常に著名な人物である。それらの地域では、厳しい気候から建築物を守る技術が必要であり、そうした気候条件が建築手法に影響を与える。そのための多くのアイディアを、彼は北欧に伝わる知恵から得ることができた。私が彼から学んだこととは、極限環...

『10+1』 No.46 (特集=宇宙建築、あるいはArchitectural Limits──極地建築を考える) | pp.158-160

[作品構成]

超線形設計プロセス論──新たなコンテクスチュアリズムへ | 藤村龍至

The Super Linear Design Process Theory: Towards New Contextualism | Ryuji Fujimura

1  あえて線形的に設計する OMAの《Casa da Musica》案の骨格は、住宅プロジェクト《Y2K》のために検討された案の流用によってもたらされたことが知られている。コールハースのこのいたずら心に満ちたパフォーマンスが意味をもつのは、建築家による設計プロセスが、そのような論理的飛躍の連続でなく、論理の積み重ねに...

『10+1』 No.48 (アルゴリズム的思考と建築) | pp.161-166

[設計思想・教育]

極環境建築における自律分散協調の自己組織的設計思想 | 池田靖史

Self-organized Design for Extreme Environmental Architecture | Yasushi Ikeda

運搬・組み立てシステムとデザイン 極環境の建築では建設地への建築資材の運搬形式と現地での建設作業の簡易性が通常の建築に比べると圧倒的に重要な課題となる。過酷な極環境は資材運搬や建設作業にも困難をともなう。地球周回軌道上の宇宙ステーションを考えてみよう。 宇宙空間へロケットで打ち上げの膨大なコストを考え、可能なかぎり重量...

『10+1』 No.46 (特集=宇宙建築、あるいはArchitectural Limits──極地建築を考える) | pp.152-155

[設計思想・教育]

キット・オブ・パーツ・システム──自己組織化建設システム | スコット・ハウ村上祐資

Self-constructing Kit-of-parts: The Art of Highly Organized Assembly | Scott Howe, Yusuke Murakami

はじめに 宇宙における建築デザインを追求していくと、極地環境下における生産・建設・管理の問題やデザイン上の規制の壁にぶつかることとなる。キット・オブ・パーツ・システムは、こうした極地におけるデザインを考える上での手助けとなるだろう。 キット・オブ・パーツ・システムとは、ジョイント構法、パネル構法、モジュール構法、展開構...

『10+1』 No.46 (特集=宇宙建築、あるいはArchitectural Limits──極地建築を考える) | pp.149-151

[構造・材料]

インフレータブル構造技術──夢から現実へ | マヌエラ・アグッジサンドラ・ハウプリック畑中菜穂子

Inflatable Technologies: From Dream to Reality | Manuela Aguzzi, Sandra Häuplik, Naoko Hatanaka

ジュール・ヴェルヌは、歴史的にサイエンス・フィクションのパイオニアと言える人物である。そして刊行から一世紀以上が経過した後、彼の空想小説は航空宇宙の歴史と驚くほど一致することが明らかになった。有名な作品のひとつである『月世界旅行(De la Terre à la Lune)』と、それに続く『月世界へ行く(Autour ...

『10+1』 No.46 (特集=宇宙建築、あるいはArchitectural Limits──極地建築を考える) | pp.104-108

[身体・心理研究]

宇宙極地探査のヒューマン・ファクター──ヒューマン・ファクターからミッション・デザインへ | 大串純

The Human Factors of Deep Space: from Human Factors to Mission Design | Jun Okushi

太陽系最大の火山、高度二万七千メートル、アリゾナ州の面積に匹敵する裾野面積を有する火星のオリンポス山[図1─3]の頂上に人類が立つことを登山家で医学者の今井通子さんは、登山家の夢として、『ザ・スペース・エイジ』という本で語っている。快適とはまだ言えない長期にわたる火星飛行の後に、太陽系最大の火山登頂があり、その後には、...

『10+1』 No.46 (特集=宇宙建築、あるいはArchitectural Limits──極地建築を考える) | pp.128-131

[構成]

Trans Network City | トランスネットワークシティワーキンググループ

Trans Network City | Trans Network City Working Group

現代の日本と都市には、近代において懸命に構築がすすめられてきた社会インフラとしての「ネットワーク」が幾重にも重なりあっている。鉄道網、道路網、上下水道網、エネルギー供給網、放送網、有線電話網、無線電話網、光ファイバー網……今やインフラ・ネットワークの整備は、ある程度の達成をみたといえる段階にあるのかもしれない。しかし、...

『10+1』 No.33 (建築と情報の新しいかたち コミュニティウェア) | pp.103-114

[構成]

環境情報デザイン・カタログ | 環境情報デザインワーキンググループ

Design Catalogue of the Environmental Information | Environmental Information Working Group

1    はじめに──いまなぜ環境情報デザインなのか 現在、社会における情報化の普及・浸透、建築業界の市場縮小、地球環境への負荷軽減など、建築デザインを取り巻く環境が大きく変化している。これからは、新しく建築を建設するだけでなく、既存の建築物を利用したリノベーションや、建築後の利用・管理・運営など、人間の活動と環境に関...

『10+1』 No.33 (建築と情報の新しいかたち コミュニティウェア) | pp.90-102

[批評]

ヨーロッパの都市の倫理 | ポール・トレノア加藤茂生

An Urban Ethic of Europe | Paul Treanor, Kato Shigeo

要旨 ヨーロッパには、都市に適用されるいくつかの規範的な原則、すなわち「都市の倫理」がある。それによって、ある都市が存在し、そうでない都市が存在しないのはなぜか、という理由を説明できるのである。原則の主なものは次の三つである。都市の近代性としての「脱都市化」。国民国家によって一律に覆われているヨーロッパにおいて、都市が...

『10+1』 No.13 (メディア都市の地政学) | pp.185-199

[批評]

クローゼット、衣服、暴露 | ヘンリー・アーバック篠儀直子

Closets, Clothes, disClosure | Henry Urbach, Shinogi Naoko

「クローゼット」という言葉には、別々の、しかし関連しあう二つの意味がある。ひとつには、クローゼットとはものが収納される空間のことである。「あなたの服はクローゼットのなかにあります」と言ったりするのはこの意味においてである。だが「ジョーは何年もクローゼットのなかにいた」という発言は、彼がズボンとネクタイを合わせようとして...

『10+1』 No.14 (現代建築批評の方法──身体/ジェンダー/建築) | pp.120-129

[批評]

鏡像──第二次世界大戦以降のアメリカ建築における、技術、消費とジェンダーの表現 | ジョアン・オックマン赤川貴雄

Mirror Images: Technology, Consumption, and the Representation of Gender in American Architecture since World War II | Joan Ockman, Akagawa Takao

二つのよく知られたイメージが、第二次世界大戦後の初めの一〇年期におけるアメリカ建築を定義すると言ってよいのではないだろうか。ひとつは、インターナショナル・スタイル・モダニズムのイコンであり、アメリカの企業資本主義の顔である、《レヴァー・ハウス》[図1]。もうひとつは郊外の核家族家庭の、社会的には伝統的で美的感覚としては...

『10+1』 No.14 (現代建築批評の方法──身体/ジェンダー/建築) | pp.171-179

[批評]

都市はメディアである | フリードリヒ・A・キットラー長谷川章

The City is a Medium | Friedrich A. Kittler, Akira Hasegawa

われわれは自宅でさまざまな形でエネルギーを享受しているが、それに支配されていると考えたことなどない。同じように、将来さらに速く変化し変容するこうしたエネルギーを享受し、それらを知覚し統合するわれわれの感覚器官が、それらからわれわれが知りうるすべてを成し遂げることも当然のことのように考えている。果たしてこれまで哲学者たち...

『10+1』 No.13 (メディア都市の地政学) | pp.78-87

[論考]

建造物のイメージ | ロルフ・ザクセ暮沢剛巳

Images on Buildings | Rolf Sachsse, Kuresawa Takemi

ポストモダニズムと後期モダニズムは過ぎ去ってしまった。第二のモダニズム、デコンストラクティヴィズム、ニュー・シンプリシティといったなかで、何にもまして生き長らえているのはヴァーチュアリティにほかならない! ロバート・ヴェンチューリの小屋の装飾★一は、たとえその形態が変容を蒙っているのだとしても、情報建築として終末論的な...

『10+1』 No.23 (建築写真) | pp.160-166

[翻訳]

空間を問う──『建築講義』 | バーナード・チュミ+岡河貢

Questions of Space | Bernard Tschumi, Okagawa Mitsugu

建築のパラドクス──ピラミッドと迷路 1 建築に携わる人ならたいてい、ある種の幻滅と失望を感じたことがあるはずだ。二〇世紀初期に生まれたユートピアの理想が実現したためしはないし、その社会的目標もどれひとつとして達成されていない。現実にぼかされてしまった理想は再開発の悪夢と化し、目標は官僚政策に変わった。社会的現実とユ...

『10+1』 No.01 (ノン・カテゴリーシティ──都市的なるもの、あるいはペリフェリーの変容) | pp.301-316

[論考]

ブルジョアジーの卵の夢──ベルギーのマグニトグルスク | エレーニ・ジガンテス+八束はじめ

Dream of a Bourgeois Egg | Eleni Gigantes, Yatsuka Hajime

砂丘(デューン) 北海の南岸地域に、低い砂丘地帯がある。その地形は途切れることなく四つの国々の海岸線として拡がっているが、これはライン、マース、シェルデ、レクの四河川の合流する北方デルタが生じさせたものだ。このフランスとオランダの砂丘の吹きさらしの空白の間に挟まれた地域に、奇妙な異物が存在している。瞬時にベルギーと識...

『10+1』 No.01 (ノン・カテゴリーシティ──都市的なるもの、あるいはペリフェリーの変容) | pp.203-216

[批評]

顔の喪失 | アンソニー・ヴィドラー大島哲蔵道家洋

Losing Face | Anthony Vidler, Oshima Tetsuzo, Hiroshi Doke

美術館は巨大な鏡である。その中で人は、最後にはあらゆる面から自らを見つめ直し、自分自身が文字通り賞賛に値すると知り、そしてあらゆる芸術雑誌に表現された恍惚感に自らを委ねる。 ──ジョルジュ・バタイユ「美術館(ミュゼ)」 ジェームス・スターリングの建築に関する最近の論文で、コーリン・ロウは、シュトゥットガルトの新しい《...

『10+1』 No.14 (現代建築批評の方法──身体/ジェンダー/建築) | pp.180-190

[批評]

「第三機械時代」のアルケミー──白・銀・透明をめぐるサブ・クロニクル | 吉村靖孝

Alchemy in the "Third Machine Age": A Sub-Chronicle of White,Silver and Transparency | Yoshimura Yasutaka

「二〇〇一年宇宙への旅」に抽選で五名様を御優待! それは空想ではなく、現実の体験です。本物の宇宙旅行です。二〇〇一年より出発予定の人類最初の民間宇宙航行プログラムに、抽選で五名様をご優待いたします。 ──一九九八年サントリー・ペプシ社広告より[図1] 1──サントリー・ペプシ社広告(テレビCFより)地球を飛びたつのはこ...

『10+1』 No.14 (現代建築批評の方法──身体/ジェンダー/建築) | pp.242-248

[論考]

操作論としての サステイナブル・アーバニゼーション | 太田浩史

Sustainable Urbanization as an Operation Theory | Ota Hiroshi

1    二つのサステイナビリティ 二〇〇二年の九月、ノルウェーのオスロで開かれた「Sustainable Building 2002」という国際会議★一において、ひとつ、象徴的な場面があった。基調講演を行なった国連人間居住センター(UN-HABITAT、以下HABITATとする)の事務局長、アンナ・カジュムル・ティバ...

『10+1』 No.31 (コンパクトシティ・スタディ) | pp.123-128

[資料]

コンパクトシティを考察するためのブックガイド | 岡部友彦坂口祐山雄和真

Book Guide for Studying Compact City | Okabe Tomohiko, Sakaguchi Yu, Yamao Kazuma

古典 「EKISTICS - Science of Human Settle-ments」を主体とするドクシアディスの都市論をまとめたもの。体系的な科学としてのエキスティックスや、メガロポリスを超える全地球的な世界都市としてのエキュメノポリスの出現を説く彼の言説からは、現在のグローバリゼーション化した世界に対する鋭い先...

『10+1』 No.31 (コンパクトシティ・スタディ) | pp.165-168

[インタヴュー]

情報/建築の融合とデザイン | 暦本純一中西泰人本江正茂

The Harmony and Design of Information/ Architecture | Junichi Rekimoto, Yasuto Nakanishi, Motoe Masashige

1    プライヴェートは携帯に、パブリックは環境に 中西──今回の特集は「建築と情報の新しいかたち」というもので、情報技術の拡充によって都市空間での人と人のつながり方が変わるなかで、建築がどういうことをやっていけばよいのかということを具体的に実践している方たちの活動をまとめています。暦本さんには情報環境の拡大がもたら...

『10+1』 No.33 (建築と情報の新しいかたち コミュニティウェア) | pp.83-89

[対談]

コンパクトシティ──都市批判としての都市をめぐって | 南泰裕太田浩史

Compact City: On the City as a Criticism toward the City | Minami Yasuhiro, Ota Hiroshi

1    コンパクトシティ論の背景 南——最初に、なぜメガロポリスやメトロポリスという大都市ではなく、コンパクトシティやスモール・シティといった中小規模の都市を取り上げるのか、ということから話を始めたいと思います。 僕と太田さんがコンパクトシティについて考え始めたのは、ほぼ三年ぐらい前まで遡ります。その議論も含めて、太...

『10+1』 No.31 (コンパクトシティ・スタディ) | pp.58-72

[論考]

醜くて平凡──日常の表象 | デボラ・ファウシュ篠儀直子

Ugly and Ordinary: The Representation of the Everyday | Deborah Fausch, Shinogi Naoko

客観主義は社会的世界を、観察者に提示されるスペクタクルとして構築する。観察者はアクションに対する「視点」を取り、それを観察できるよう退いている者たちであって、そうして彼は対象に対する自分の関係をその対象へと転嫁し、認識のみを目的とした全体としてこれを把握するのだが、そこにおいてはすべてのインタラクションは象徴交換へと還...

『10+1』 No.24 (フィールドワーク/歩行と視線) | pp.156-175

[批評]

直線性の重荷──ろばの都市計画 | キャサリン・イングラハム五十嵐光二

The Burdens of Linearity: Donkey Urbanism | Catheringe Ingraham, Igarashi Koji

わたしは一匹のろばである。しかし目をもったろばだ。感覚を受容することのできるろばの目だ。わたしはプロポーションへの本能をもったろばだ。わたしは頑として視覚主義者なのであり、これからも常にそうあるだろう。美しいものは美しい。しかし、それこそモデュロールなのだ。(…中略…)モデュロールはろばの耳を長くのばす(ここでわたしが...

『10+1』 No.15 (交通空間としての都市──線/ストリート/フィルム・ノワール) | pp.104-118

[White Page]

リサイクル感覚によってインフラストラクチャーとして組織されるもの | 長岡大樹

Forming Infrastractures through Recycling Sensiblities | Daiju Nagaoka

インフラストラクチャーといえば、電気、ガス、電話、水道、道路、鉄道……などが頭に浮かぶ。モノとしてひとつながりで、私達の生活の細部にまで行き渡っており、日々の生活を支えているもの。私達はこうしたものをインフラストラクチャー(インフラ)と呼んでいる。ここでモノとしてひとつながりであることは、インフラを成立させるための十分...

『10+1』 No.21 (トーキョー・リサイクル計画──作る都市から使う都市へ) | pp.120-123

[キーワード]

90年代都市・建築キーワード/キーパーソン | 南泰裕瀧本雅志松田達

Urban/ Architecture Keywords and Key Persons of the 90s | Minami Yasuhiro, Takimoto Masashi, Matsuda Tatsu

連続と切断の言語風景── 1990年代の都市と建築をめぐって 南泰裕 たったいま終わりを告げたばかりの、1990年代の都市と建築を切り出して、「何かが確実に変わったのだ」、とわれわれは言うことができるだろうか。ミシェル・フーコーにならってエピステーメーの変容を、あるいはトーマス・クーンを想起してパラダイム・シフトの痕跡...

『10+1』 No.19 (都市/建築クロニクル 1990-2000) | pp.68-87