不思議なキッチンを見かけた。英国で一九世紀に製造されたというアンティーク・テーブルに、落ち着いた輝きを放つステンレス製の最新式のガス・テーブルとシンクが載せてある。しゃれた水栓が添えてある。その異質な組み合わせがまず目を引いた。謳い文句は、「世界にたったひとつしかない究極のパーソナル」。一流キッチン・メーカーのセミオーダー品であった。今までキッチンと言えば、食品を扱う装置として清潔感や機能性を謳ってきたはずである。アンティーク・テーブルが不潔であるとは言わないが、少なくともキッチンとして高機能とは思えない。海を渡り、穴をあけられ、第二の人生ならぬ第二の機能を課せられたそのテーブルの数奇な運命を想った。そのアンティーク・テーブルには、かつて人々が集まり、食し、呑み、談話や遊びに興じたその痕跡が刻み込まれているはずだ。二一世紀の東京で、それを自宅の中心に据えたいという想いはいかなるものか。そこには単なるアンティーク趣味とは言い切れない、少しばかり歪んだ精神性を感じた。謳い文句の「究極のパーソナル」には、家族の存在も団らんもすでに排除されている。そのキッチンの前に立つのは、ひとりであることをひたすら愛するスノッブな個人であるように思える。共通の価値観を持つ限られた人間のみがそのキッチンが置かれた空間に一時的に迎え入れられるのだ。ルキノ・ヴィスコンティ監督の映画『家族の肖像』(伊+仏、一九七四)を思い出す。静かにひとり暮らしを送る老大学教授の家に不思議な三人組が下宿することになる。母と兄妹に見えるその三人は、実は複雑な男女関係をもつ母娘と情夫であった。教授は何度も彼らを追い出そうと試みるが、その情夫との芸術談義に知的な安堵を覚え、次第に彼らの存在が自分の日々の生活に欠かせないものになっていることに気づく。しかし、そのときすでに彼らはその家を去っているというストーリーだ。十分すぎる大きさのダイニングテーブルに四人が座り、使用人がつくる食事を共に楽しむシーンが繰り返される。ヴィスコンティは、日々の食事を共にすることが家族の定義となりうるか?と観る者に問う。先のアンティーク・テーブルキッチンで食事をつくるスノッブな彼(彼女)は、かつてそのテーブルを囲んだ人々の幻影と食事を共にするのだろうか。
今回のテクノロジーロマンは、キッチンを通じて、住設に課せられた象徴性について考えてみたい。かつて住宅は家族を象徴していた。その主体である家族の輪郭があいまいになり、ぼけてしまった今、われわれは住宅が果たしていた役割を、代わって住設に期待してはいないか。特にキッチンは設備であると同時に家具でもあり、水やエネルギーという都市インフラの端末でもある住設のなかでも特殊な存在である。そして、あるひとまとまりの人々を家族たらしめる装置とも言えないか。ドイツの精神科医ホルスト・エバーハルト・リヒターのいうところの「劇場家族」(『病める家族─家族をめぐる神経症の症例と治療』鈴木謙三訳、佑学社、一九七六)、つまり芝居のように健康的で理想的な家族を演じる人々のための舞台装置であると言うことさえ可能ではないか? われわれは家族の正確な姿を把握するために、まず統計的データを収集・分析することから始めよう。[MY]
小さくなる家族
戦後は都市部を中心に核家族化が進み、4人世帯が増加する。それに合わせ、団地、マンションなどが大量に供給された。吉武泰水らによる51C型★2が実現させた「食寝分離」「2DK」や、浜口ミホと住宅公団による共同研究などをきっかけに普及が始まる「ステンレス流し台」「食事用テーブル」等は、新しい生活の象徴であり、憧れの的となる。しかし、当時「標準世帯」と考えられていた4人世帯をはじめ、大人数の世帯は1980年付近をピークに減少傾向へと転じる。かわって1人世帯、2人世帯の増加が加速している。60年代は、人員が4人以上の世帯が過半数を占め、家族はあるまとまりをもって生活していた様子がうかがえるが、2005年の時点では人員が2人以下の世帯が半数を超え世帯規模が縮小している。1人世帯、2人世帯の割合は現在も増加の一途をたどり、2005年では1人世帯が全体の29.5%と全体の最多を占める。住宅というハコを共有するコミュニティの分解が進行している。家族のあり様は、この半世紀でがらりとかわったことがわかる。[SI]
1──姿を変える世帯(1955年以前のデータは「普通世帯」、1960年以降は「一般世帯」の数値)とクリナップ社のキッチンカタログに掲載されたキャッチコピー
総務省統計局「国勢調査」★1とクリナップ社キッチンカタログをもとに作成
2──1960年世帯人員割合
3──2005年世帯人員割合
総務省統計局「国勢調査」世帯人員別一般世帯数
全国(昭和35年、45年─平成17年)をもとに作成
住宅の中でのキッチン
住宅の中でのキッチンの在り方の変遷を見てみよう。DK★3は住宅公団の誕生とともに急速に発展し、70年代には過半数を占めるに至る。一時は普及が拡大したDKも近年は減少傾向にあるが、これはキッチンの置かれる空間が大きくなり、DKからLDKへと呼名が変わったのだと理解するのがよいだろう。住宅の平均延床面積は50年から60年にかけて大きく減少しているが、これは公団発足にともなう集合住宅の増加によるところが大きい。これらを合わせてみると住宅の規模にかかわらずDKが減少し、そのぶんLDKが増加していることがわかる。[SI]
7──住宅におけるK、DK、LDKの割合及び平均延床面積の変遷
(建築の時期別、戸建・共同住宅・長屋・その他専用住宅)
総務省「住宅・土地統計調査」をもとに作成
残り続けるキッチン
1950年代後半からの高度経済成長は一気に住設の普及を促し、生活を激変させていった。大量消費時代の到来であり、絶え間なく更新される新しいものへの欲望は「消費は美徳」というキャッチフレーズが生まれるほどに過熱していた。白黒テレビはカラーテレビに刷新され、ストーブはエアコンへと姿を変える。ここで注目しておきたいのは食洗機、電子レンジ、電気釜、電気ポットなど、キッチンの機能を代替するような製品普及の拡大である。冷凍食品の生産量と電子レンジの普及率がほぼ同じ勾配で増え続けていることからもわかるが、このような製品はキッチンの担うべき機能を変容させている。しかし、システムキッチンの普及は変わらず拡大し続けている。火を使わなくても調理ができ、水を使わなくても片付けが済んでしまう技術が導入されようとも、キッチンは住宅の中に残り続けるのだろうか。[SI]
8──ルームエアコン及び石油ストーブの普及状況
9──電気冷蔵庫、電子レンジ、システムキッチンの普及状況
内閣府「消費動向調査」をもとに作成
10──クリナップ社キッチン種類別出荷台数
クリナップ社2007年7月13日調べ
11──日本の冷凍食品生産数量(家庭用)
社団法人日本冷凍食品協会統計データによる資料をもとに作成
データリサーチ/グラフ作成=SI+MY+SM+MM+KT+YI+SN
カタログコピーにみるキッチン
2DKが導入された頃は、その新しい生活様式に馴染めずDKにこたつやゴザを持込んだり、和室のちゃぶ台で食事をする例が少なくなかった。住宅公団は2DKの生活様式を普及させるため、啓蒙的にステンレス流し台と食事用テーブルを備え付けた住宅の供給を行なっている。現在は広く普及しているキッチン+食事用テーブルという生活様式も、始まりは矯正ギブスを着用するような強引な形だった。このように導入されたキッチンは、その後も実用性のみならずユーザーである家族のあり様を象徴する役割を担っていく。キッチンカタログを時系列に沿って見直してみると、シンク、コンロ、収納、吊戸棚といった基本的な仕様はほとんど変わっていないが、掲載されるコピーは時代とともに変化していることがわかる。そこからは、それぞれの時代がキッチンに求めていた役割をうかがい知ることができる。セクショナルキッチン★4が普及し始めた63年には、新しい技術が前面に押し出されている。「アルゴンアーク完全溶接であります」「正面はメラミン樹脂パネライト化粧板を使用しております」等のコピーが並び、新しい技術、性能への執着は家族が獲得すべき新しい生活への夢が求められていたことを感じさせる。システムキッチンの普及が拡大する80年代のコピーは「住まいの中心。家族の集う空間」「会話が楽しくなってきた」等、まさに家族団らんの中心としての役割をキッチンに与えている。「ひろまキッチン」という名称は、キッチンが単なる料理の場のみならず、家族を集わせる装置として機能しだしたことを示している。しかし、すでにこの時期には家族の形態は変化し始め、少人数化、細分化が始まっている。近年のキッチンに見られるコピーは「上質」「高級」「高機能」等、より専門化、高度化していることを謳っている。「本物志向」「格別のクオリティ」等の文字が躍り、まるでプロの料理が生み出されそうな演出がなされている。[SI]
4──クリナップ社キッチンカタログ1963年度版より。
技術の高さが強調される
5──同、1982年度版より。家族の団らんが前面に打ち出された
6──同、2007年度版より。高性能、高機能を謳う
象徴装置論
フランクフルトキッチンから家族の象徴へ
キッチンというのはつかみどころのない住設だ。設備機器のようでもあり、収納家具のようでもあり、テーブルのようでもある。これらがひとつのパッケージとして現われたのは、マルガレーテ・シュッテ=リホツキー女史による「フランクフルトキッチン」(一九二六)が最初であろう。この時にはじめて調理という行為にひとつの住設が与えられた。それは、効率的に作業ができるように道具や材料が適切な位置に収納され、家事を行なううえで動作や移動ができるだけ少なくなるように机や棚がレイアウトされていた。フランクフルトキッチンは、機能性と作業集約性を満たした複合的な道具であり、女性の家事労働の軽減を実現する夢のシステムであった。フランクフルト市内の公営住宅に約一万個供給されたこのキッチンは、近代的な合理性や女性の社会進出などを象徴する新しい都市生活者のためのテクノロジーロマンなデザインであった。こうしたコンパクトで複合的な機能をもつキッチンが日本で広がり始めるのは、一九五〇年代後半以降である。日本では、その頃から四人世帯が他の人数の世帯を少しずつ引き離して家族の標準型となっていった。その傾向は八〇年代まで約三〇年間続く。ベビーブーム世代が新しい世帯をもち、高度成長とともに世帯の所得は増加し、次々に新しい住設が生まれ、普及していく。ちょうどこうした時期にキッチンが普及期を迎えたために、キッチンはダイニングテーブルやリビングセットと合わせて、家族を象徴するような装置として位置づけられるようになったと考えられる。この位置づけは当初のフランクフルトキッチンにはなかったことだ。新しい家族の広がりとキッチンの普及が重なり合ったことで、この装置は調理を中心とした家事労働の合理化と軽減のための〈機能装置〉であること以上に、新しい家族のまとまりや団らんを期待させる〈象徴装置〉としての意味合いを強めていったのだ。
フランクフルトキッチン
引用出典=矢代真己+浜崎良実+田所辰之助
『マトリクスで読む20世紀の空間デザイン』
(彰国社、2003)
したたかな〈象徴装置〉
しかし、九〇年代以降に入ると、四人世帯の割合は一人世帯や二人世帯、三人世帯の割合に次々と追い抜かれ、標準的な家族像がつかめなくなっていく。それと時を同じくして、電子レンジの普及率が五〇パーセントを超え、家庭用の冷凍食品の生産数量も伸びる。このようにひとつの家に住む家族の人数が減り、調理が簡易化しているにもかかわらず、システムキッチンの出荷量は増え続けている。世帯数が伸びているとはいえ、使われる頻度が下がってきている高額な住設が必要とされ続けていることは不自然なことだ。再びキッチンカタログを参照すると、調理を行なうという本来の機能以外の部分で、メーカーが消費者の欲望を喚起していることがわかる。例えば、よりパーソナルな要求に応えられるようにカスタムメイド感をデザインの前面に押し出したり、パーツレヴェルまでキッチン要素を限定して場所や状況を限定しないような設えにしたり、調理という行為自体を象徴化しているものも見られる。これらは、いずれも何らかの欲望の象徴であるが、それはもはや標準的な家族の団らんを象徴するものではなくなってきている。家族の解体や分散とともに、象徴される欲望の対象が多様化しているのだ。欲望の対象が変わってもキッチンはしたたかに〈象徴装置〉として生き続けている。
同じような進化を遂げているのはキッチンだけではないだろう。多くの住設が何らかの欲望を象徴する〈象徴装置〉として、住宅の中に鎮座している。薄型大画面テレビやホームシアター、高機能浴槽や高機能便座、暖炉や薪ストーブなども何らかの欲望を象徴する〈象徴装置〉として、本来の機能を超えて過剰にシンボリックな方向に進化を続けてきているものである。これらの住設では本来の機能を損なうことがあっても、求められる象徴性に対して「それらしく存在すること」のほうが優先されることがあるのだ。この「象徴化」というべき進化が、住設のテクノロジーの進化の枝を豊かに、そして複雑にしている。住設は単に環境を制御したり、人間の行動を支援したりするだけではなく、何らかの欲望を象徴する装置として人間の充足感を満たす対象にもなっているのだ。
変質する住宅と象徴装置の行方
一方で、住宅はどうだろうか。かつて、住宅は〈象徴装置〉そのものであった。住宅の形式を決定する大きな要因のひとつが象徴性であることは、伝統的な住居に共通して言える。自分たちが住む家を思っても、例えば屋根であったり、門扉であったり、柱であったり、床の間であったりと、さまざまな空間や部位が象徴的な意味を根拠に存在していたように思う。それに対して、現代の住宅にはどれほどの象徴性を認められているのか。住設が次々と象徴性を受け止める対象になっていくのとは反対に、住宅自身がもっていた象徴性はますます薄れ、人々の興味や欲望の対象から外れていっているのではないだろうか。やや悲観的に言うならば、住宅は大きな象徴性を担う役割を失い、個々の〈象徴装置〉に場を与え、それぞれの装置に関係性をもたせる役割(個々の住設の機能的連関を空間配置によってもたらす役割)しか期待されていないということも言えるのかもしれない。キッチンがそうであるように、住設が家族と住宅の間を取りもつ媒介となっていることも言える。そうだとすれば、住宅は住設をプロットするための座標のような存在になってきているといえる。住宅は本来建物と不可分であった象徴性や機能を住設に委ねることでそれらを外化していっている。住宅はフレームだけを残して空洞化しつつあるとも言えるかもしれない。家族の危機が叫ばれて久しいが、危ういのは家族ではなく、存在意義が薄れてきている住宅のほうだとも言える。住宅のフレームが消え、象徴装置が剥き出しに並ぶ風景を想像した時に、果たして建築に何が可能なのだろうか。[SY]
参考文献
高屋喜久子+黒川威人「フランクフルトキッチン再考──次世代キッチンの研究(二)」(『デザイン学研究 研究発表大会概要集』No.47、日本デザイン学会、二〇〇〇、一八二─一八三頁)。
frame kitchen──機能を削ぎ落とす思想
キッチンに求められる機能をスケルトン・インフィル化することで、それぞれのユーザーが個々のスタイルにあったキッチンを得られるという考え方で生まれた。ユーザーによってカスタマイズされたキッチンは生活スタイルの多様性を反影している。不要なものは削ぎ落とし、機能を素のままで見せた軽くカジュアルなキッチン。[KM+SY]
frame kitchen TOTO
アルミフレームに、「水栓」「コンロ」「シンク」と最小限の機能のみを標準装備。アイテムを追加することで、個々のスタイルにあったキッチンにすることが可能。
引用出典=http://www.toto.co.jp/company/press/2004/09/08.htm
PUTTON──象徴性に寄生するキッチン
火と水という調理の基本的な要素を取り出して、それらを置いた場所や物がキッチンであると言ってしまうことが可能になれば、キッチンを住宅の中の「場所」から「部分」に変えてしまうかもしれない。キッチンが部分としてのモノに変化することによって、キッチンの場所としての象徴性が喪失される。しかしアンティーク家具や思い入れのある物に寄生することでキッチンはそれに代わる新たな付加価値としての象徴性を得ようとしている。[SY+KM]
PUTTON TOYO
シンクとレンジという基本の調理機能を分離独立させ、単体パーツとして提供する。各パーツはさまざまな素材に「載せる」ことができ、好きなシンクに好きなレンジを組み合わせ、好きな場所をキッチンにすることが可能。
引用出典=http://www.toyokitchen.co.jp/products/scenes/putton.html
ISOLA-B──存在を消すキッチン
部屋の中心に置かれどこから見られても美しい姿になるようにデザインされたテーブル型キッチン。IHヒーターと薄いシンクの採用、足の中に隠された配管によって生まれたプロダクト。従来のユニットの組み合わせによるキッチンとは発想が根本的に異なり、調理のための装置という存在感は消えようとしている。[KM+SY]
ISOLA-B TOYO
ダイニングテーブルとキッチンの融合。天板のふたをスライドさせると薄いシンクが出現する。
引用出典=http://www.toyokitchen.co.jp/collezione.html
燃焼しない調理器具──IH(インダクション・ヒーター)
IHとは電磁誘導加熱のこと。磁力発生用コイルから発生した磁力線が金属製鍋の底にうず電流を生じさせ、炎を使わずに鍋そのものを発熱させる。従来のガスレンジと異なり、燃焼器具でないため、レンジフードが法的に不要となり、住宅内でキッチンの設置がより自由になった。[KK+MY]
IHクッキングヒーター
ガスに負けない火力とスピーディな加熱。短い調理時間でムダなエネルギーを消費せず経済的。調理機材を直接発熱させるため、空気を汚さず上昇気流やもれ火も抑えられ、高気密・高断熱住宅との相性もよい。
引用出典=http://www.aeg-electrolux.jp/
音と振動を抑える複合材料──美・サイレントシンク
従来からキッチンには美しさと清潔さが求められてきた。近年、そこに静けさが追加された。水栓から流れ落ちる水の振動により生じる共鳴や騒音を防ぐために、制振性に優れたステンレス薄板複合材料を用いることは、いまや業界標準と言われている。このプロダクトはその先駆けとなったものである。シンク底面と食器との接触面積を極小にするための精巧なエンボス加工、ナノ粒子による親水性セラミック系特殊コーティング、シンクと排水トラップとの一体的なプレス成形技術により、音がない、傷もない、汚れもない、匂いもないキッチンである。キッチンのもつ負の部分を取り除くテクノロジーの進展は続く。[KK+MY]
美・サイレントシンク
「制振層」と「拘束層」を重ねたいわば静音層をシンクの底面だけでなく前面、側面にまで広げて配置することで究極の静かさを実現。家族の団らんを遮る耳障りな騒音を約20dB低減している。
引用出典=http://www.cleanup.co.jp/kitchen/ss/silent.shtml
註
★一──国勢調査
国内における人口や世帯の状況を明らかにする義務調査である。一九二〇年から五年ごとに行なわれ、一〇年ごとの大規模調査とその五年後にあたる簡易調査に分けられる。現在まで一八回実施され、調査対象は本邦内に常駐している者。外国人やホームレスなども申請の義務を負う。[MYo]
★二──五一C型
吉武泰水、鈴木成文らによって設計された公営住宅の標準プランのひとつ。西山夘三の「食寝分離論」の系譜にある。2DKの原型となり、戦後の集合住宅のモデルとなった。五一C型の登場は、住宅の中に「家族が食事をする場」という専用空間を誕生させた。[SI]
★三──DK
キッチンと食堂が一体となっているものをDK、リビングも含めて一体となっているものをLDKと呼ぶ。不動産業界的にはキッチンの置かれている空間の広さが一〇畳未満の場合をDK、一〇畳以上の場合をLDKと定義するのが一般的。ちなみに五一C型におけるDKは四・五畳ほどの広さ。[SI]
★四──セクショナルキッチン
セクショナルキッチンは工場で完成させた流し台、調理台、コンロ台などのそれぞれ独立した部品を現場で配置するキッチンセットのこと。一方、システムキッチンは調理台、流し台などの諸機能をシンク付きの天板により一体化させるキッチンのこと。さまざまなスペースに適合できるよう多種多様なサイズ、色、素材のものがある。[SM]
次号予告
次号は住設をエネルギーの視点から取り上げる。住宅とエネルギーをつなぐ媒介としての住設に何が起きているのか? 地縁やコミュニティと無縁に見えたとしても、すべての住宅はエネルギーを介して都市(あるいは周辺地域)とつながっている。エネルギーを辿ることで、住宅のみならず都市やコミュニティの新しい可能性が見えてくるのではないか? そのあたりまで探っていきたい。[SJ]
象徴としてのキッチン/家族の群像
[MH]